茨木市長選挙告示へ、情勢は混とん


茨木市長選挙は3日告示される。現職の木本保平市長(71)に元府職員で市民団体事務局長の末武和美(69)、弁護士の福岡洋一(40)の2人の候補が挑む。投開票は10日。茨木市議会議員の補欠選挙も同時に行われる。補選には自民党と無所属の2人が立候補するとみられる。

茨木市議会の複数会派内で支持候補を統一できていないとみられる。茨木青年会議所など各陣営の活動を支える市内団体も木本派と福岡派に割れており、選挙情勢は混とんとしている。

新たな市民会館の建設や、JR茨木駅西口再開発・市南部の市街化調整区域の開発など開発計画が相次ぐ中、選挙結果次第では計画の見直しなど方向転換も予想される。

30日には茨木青年会議所が主催する公開討論会も実施され、3氏が論戦を繰り広げた。開発について木本市長と福岡氏に大きな政策の違いはなかったが、末武氏は開発に懐疑的な立場を見せた。

不祥事で一転波乱の展開に

当初今回の市長選は木本市長の再選の可能性が高いと見られていたが、3月に入って木本市長の不祥事が表面化した。木本市長のおい2人が固定資産税を滞納していることや、市長本人がその不動産を担保に借入れを行いながら、その借入れを市条例に基づく資産報告から除外していたというもの。差出人不明の告発文書をもとに3月市議会で複数の議員が質したことで明らかになった。

市議会にテレビカメラも入り、大きく報道されたことで一気に市長離れの動きが進んだ。支持母体のおおさか維新の会所属で茨木市などを地盤とする足立康史衆院議員も説明を求めた。

おおさか維新の会茨木支部も内部で意見対立があり、同支部は支援を中止し木本選対はいったん解散した。足立議員らはおおさか維新の会茨木支部としての支援候補を模索したが、木本支持派に配慮して自主投票を決めた。

新たな候補を擁立

自民党の占部走馬府議らは茨木青年会議所などの人脈から木本市長の対抗馬を探してきた。木本市長の不祥事が明らかになったことで茨木市出身の福岡洋一弁護士の擁立に動いた。

福岡氏はおおさか維新の会茨木支部長でもある松本利明府議や、民進党の森みどり前府議の支持も取り付けたほか、前回の市長選で木本氏と戦った桂睦子市議や米川勝利市議など無所属議員も支持に回ったと見られる。

福岡陣営の動きは遅れ気味と見られていたが、占部府議が事務所を提供。23日には「茨木未来会議 ふくおか洋一」というフェイスブックページを立ち上げたほか、ウェブサイトも開設。連日の辻立ちもこなし、3月までにビラも市内全戸に配布した。

末武候補も3月早々に出馬を表明しており、辻立ちや車での街宣など他陣営に先行して繰り広げる。しかし共産党系団体や共産党以外の支援は無所属の山下慶喜市議のみとみられ、支持の広がりに欠ける。

その一方で木本市長と福岡氏の票が割れる可能性が大きくなっており、左派票を集めた末武候補が票を伸ばして互角の戦いに持ち込む可能性も残されている。争点が明確でない市長選だけに選挙戦の盛り上がりに欠けるとの見方も強い。投票率が伸び悩んだ場合、想定外の結果もありえる。

読めない票の行方

無所属の山下慶喜市議は、党派内部で木本市長と福岡氏の支持が割れていると指摘している。ブログで「もっともねじれているのが民進党関係と連合です。民主みらいの会派が現職・木本と新人・福岡で割れ、市役所の自治労は現職・木本に、教組関係は新人・福岡となっています」と記している。

また維新も「会派の市議2人と府議が新人・福岡に、残りは現職・木本」としている。「維新の足立衆議院議員はFacebookで木本市長に罵詈雑言を浴びせていましたがどうするのやら・・・」と書いているが、足立議員は福岡氏に「為書き」を寄せたとの情報がある。

「末武市長」なら開発は見直しに

木本市政で新たな市民会館の建設や、JR茨木駅西口再開発・市南部の市街化調整区域の開発など多くの開発計画が浮上しているが、末武氏は開発よりも福祉重視を訴えている。

福岡氏はウェブサイトで政策の筆頭に「まちづくり」を挙げ、「昼も夜もにぎわい、憩える中心市街地と駅前の再整備。市民に愛され、使われる新しい芸術文化施設の建設。」と訴えている。さらに「新しい価値を創造する起業支援。市内企業と世界をつなぐ」と商工業の振興にも意欲を見せている。

木本市長の再選もしくは福岡氏当選であれば開発路線に大きな変更はなさそうだ。しかし末武氏が当選した場合は開発計画に影響は避けられなさそうだ。

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