議員発第18号 証言拒絶に伴う告発について


議員発第18号
証言拒絶に伴う告発について上記議案を、会議規則第8条の規定により、別紙のとおり提出します。
平成28年12月5日提出

提出者 茨木市議会議員
上田光夫
朝田充
桂睦子
友次通憲
河本光宏

茨木市議会議長 篠原一代様

告発書
告発人 茨木市議会議長 篠原一代
被告発人 木本保平

第1 告発事実の要旨
被告発人は、市税滞納問題に係る調査のため地方自治法第100条第1項に基づき、茨木市議会に設置された「議会の請求に基づく監査の結果(監報第4号)に関する調査特別委員会」から、関係人として、平成28年11月9日午後2時、茨木市駅前三丁目8番13号所在の茨木市議会に出頭して証言するよう請求を受けながら、同日時頃、同市議会第一委員会室において、正当の理由がないのに証言を拒んだものである。

第2 告発に至った経緯
(1)茨木市議会は、平成28年3月22日付け茨議議第1060号によって茨木市監査委員に対して監査を求め、茨木市監査委員は、平成28年2月末日現在における現年度分及び延滞金を除く総額500万円以上の市税滞納者に関し、茨木市債権管理対策推進本部の事務を含め、滞納整理事務としていかなる対応を行い、その対応が適切であったか否かについて監査を実施した。

(2)監査結果に記載されていた監査委員による指摘事項に関し不明な点があったため、茨木市議会では、その内容を議会として調査するべく、平成28年6月30日、地方自治法第100条第1項に基づき、調査特別委員会(以下「百条委員会」という。)を設置することを議決し、百条委員会では5つの調査項目につき調査が行われることとなった。

(3)百条委員会は、上記調査項目を調査するため、平成28年8月5日、茨木市長に対して、前記市税滞納者12名に係る「滞納処理経過表」等の資料提出を求めたところ、茨木市長から、黒塗りされた箇所の多い「滞納処理経過表」等と共に記録の取り扱いに関する要請文書が送付された。

(4)百条委員会(委員長上田光夫市議会議員)では、上記要請文書を踏まえ、茨木市議会委員会規則第39条に基づき、秘密会として調査をすることとし、平成28年8月10日及び12日の2日間にわたり、提出された「滞納処理経過表」等を調査したものの、前記のとおり、黒塗り箇所が多く、とりわけ、調査項目中の「滞納者の資金繰り等の関係で差押え等が行われなかった事例」及び「関係者の関与等により、納税交渉が継続され、差押え等が保留されていたのではないかと思われる事例」(以下順次「差押え等未実施事例」、「差押え等保留事例」という。)に関しては、その事実関係が解明できず、百条委員会の設置目的が遂行できない状況にあったことから、平成28年9月6日、茨木市長に対し、秘密会で調査し、追加開示される「滞納処理経過表」は百条委員会終了後、返却することなど、納税者の税情報等の守秘に関し、でき得る限り配慮するとして、納税者本人及び関係者の行動並びに納税交渉の内容についてもわかるよう「滞納処理経過表」の非開示部分を追加で開示するよう要請した。

(5)上記要請に基づき、茨木市長は「滞納処理経過表」のうち、差押え等未実施事例及び差押え等保留事例について、百条委員会に追加開示するに至ったものの、なお、納税者本人及び親族等関係者にとって他人に知られていないことにつき客観的に非常に大きな利益を有する事実であるなどとして、依然、非開示とされた情報があった。

(6)追加開示された「滞納処理経過表」の上記部分は、高額滞納者12名中、2名の記録であった。百条委員会は、平成28年9月16日、同記録を調査したが、上記のとおり、依然非開示部分が残っていたため、差押え等未実施事例、差押え等保留事例について、さらなる調査の必要性があると判断し、平成28年10月14日、茨木市長以下、担当職員に出席を求め、聞き取り調査を実施したが、上記高額滞3納者2名についてなお不明な点や事実関係の究明が不十分であったことから、平成28年10月28日に開催した百条委員会において、11月9日に百条委員会を開催し、証人として前茨木市長である被告発人と茨木市副市長河井豊氏の両氏に対し出頭し証言を求めることとし、秘密会で行うことに決定した。なお、両氏に対しては事前に日程確認した上、上記出頭日を決定している。

(7)平成28年10月28日、被告発人に対して証人出頭請求書を送付したところ、被告発人から平成28年10月31日付けで、「この百条委員会を秘密会に行う場合は、出頭を受け入れられません。上記内容を査収の上、証人出頭を受諾します。」などと記載した文書が告発人宛に送付されてきた。

(8)被告発人から送付されてきた上記文書を受けて百条委員会を開き、同氏への対応を協議した結果、被告発人に対し、「証人出頭請求書の受諾の件に対する回答」文書と、秘密会とする根拠を知らせその理解を得るべく、参考資料として茨木市長からの要請文書を送付することとなり、これら文書を送付したものの、平成28年11月8日、被告発人からの「あくまでも秘密会で行う場合は、出席致しかねます。その為、刑事告訴される場合はそのように行って下さい。」などと記載した文書が茨木市議会議長宛に届いた。

(9)平成28年11月9日の百条委員会では、午前10時過ぎから正午過ぎころまでの間、河井豊氏の証人訊問を行い、その後同日午後2時から、被告発人に対する証人訊問を行うため、百条委員会を再開した。被告発人は、出頭こそして、百条委員会の委員会室に入室したものの、委員長が被告発人に対し、証言を拒める場合など証人訊問に関する説明を行った上、宣誓を求めるや、被告発人が発言を求めたため、委員長は、百条委員会を一旦休憩とした。

(10)その後、百条委員会を再開したところ、被告発人は委員長が発言を許していないにもかかわらず委員長の制止を無視し、「これが秘密会ということであれば、私は出廷を拒否します。そして、そのために皆様が私に対して刑事告訴なり、そうすることについて、私はもちろんそれを受けることは、やぶさかではありません(中略)私はこれで退席をさせていただきます」と一方的に述べて、自ら席を立って委員会室を退室し、もって、証言を拒むに至った。

第3 地方自治法第100条第3項の正当の理由等について
証言を拒む正当の理由については、地方自治法第100条第2項により、民事訴訟法の証人尋問に係る規定が準用され、民事訴訟法第196条、197条には、証人が証言を拒絶できる場合が列挙され、同法第198条では、証人は証言拒絶の理由を疏明しなければならないとされ、また、同法第193条の関連で、証人不出頭の正当の理由は、病気、長期旅行、変更できない公務、交通事故、親族の慶弔等であると解されている。
しかるに、被告発人は、事前に送付してきた文書でも、百条委員会での発言においても、自分の主張を繰り返すだけで、証言を拒絶できる場合に該当し、あるいは証人不出頭の正当な理由がある、などと主張することはなく、もとよりこれらの事情を疏明することもなかったのである。
そもそも、百条委員会を秘密会にするかどうかは、百条委員会の権限に属し、被告発人が容喙できない事項であり、平成28年11月9日の百条委員会を秘密会としたのも、訊問事項が、「滞納処理経過表」の内容に及ぶばかりか、前記の追加開示でも、納税者やその親族、関係者にとって非常に大きな不利益を招く恐れがあるとして、依然非開示とされた部分にも及ぶことから、やむなくとられた合理的な措置であって、被告発人からの干渉を受ける理由は些かも存在しないのである。
なお、被告発人は、形式的には、百条委員会に出頭しているため、被告発人の百条委員会での発言や一方的な退席という事実から、包括的な証言拒絶があったことは明白であるとして、これを告発事実としているが、上記の形式的な出頭では、出頭したことにならないとの判断も十分にあり得るところなので、告発人としては、適正な処罰が確保されるのであれば、証言拒絶罪に固執するつもりはない。
また、「滞納処理経過表」については、百条委員会の終了後、茨木市長に返却しているため、本件の添付資料として提出できないので、必要があれ5ば、御庁において、然るべく入手されたい。

第4 結論
被告発人の「第1告発事実の要旨」欄記載の行為は、地方自治法第100条第3項に該当しますので、御庁におかれまして、鋭意捜査の上、被告発人を処罰されるよう告発した次第であります。

平成28年11月28日付 委員会調査結果報告書(議会の請求に基づく監査の結果(監報第4号)に関する調査特別委員会)


平成28年11月28日

茨木市議会議長
篠原一代様

議会の請求に基づく監査の結果(監報第4号)に関する調査特別委員会
委員長上田光夫
委員会調査結果報告書

本委員会に付託の議会の請求に基づく監査の結果(監報第4号)に関する調査の結果については、別紙のとおり決定したので、委員会規則第18条の規定により報告します。

議会の請求に基づく監査の結果(監報第4号)に関する調査特別委員会調査報告書

平成28年6月30日、6月定例会本会議において設置され、地方自治法第100条の規定に基づく権限を付与された議会の請求に基づく監査の結果(監報第4号)に関する調査特別委員会は、7月20日に委員会を開催し、
(Ⅰ)滞納処理経過表の記載に関し監査委員から指摘のあった事項の事実関係の確認及び原因の究明
(Ⅱ)滞納者の資金繰り等の関係で差押えが行われなかった事例の事実関係の確認及び原因の究明
(Ⅲ)関係者の関与等により差押え等の保留があったのではないかと思われる事例の事実関係の確認及び原因の究明
(Ⅳ)分割納付に関し、監査委員の指摘のあった事例の事実関係の確認及び原因の究明
(Ⅴ)滞納処分に当たり上席者との協議等がなされていた3事案の事実関係の確認及び原因の究明
以上5項目について調査することを決定いたしました。

以来、4カ月間にわたり記録の提出、市長以下説明員の出席、証人の出頭などを求め、鋭意調査を行ってまいりました。
調査のために開催した本委員会の回数は10回、また本委員会を進めるため論点整理等を行う調整会議は15回開催いたしました。この間、市の説明員として3人に説明を求め、2人の証人に出頭を請求し1人のみ証人訊問を実施できました。
以下、調査結果を報告いたします。

(1)調査報告内容について
本委員会の調査対象は、高額市税滞納者に対する滞納整理事務であるところ、取り扱う証拠書類の中には滞納税額など私人の「秘密」に該当する情報が含まれていることから、原則秘密会として運営してきたところであります。
また、原則秘密会とすることで、証人訊問など委員会の円滑な審議を心がけ、真実究明に資する運営に努めてまいりました。
もとより、秘密会で審議された内容が全て報告書に記載できないとすると、真実究明のために設置された本委員会の存在意義が問われると同時に、民主的信任を得た議会が市民への説明責任を十分に果たすことができません。
そこで本委員会としては、議会で問題となった点を明らかにするという公的利益と個人の秘密を守るという私的利益を比較考量し、高額市税滞納者の私人が特定される「秘密」に該当する情報については報告書に記載せず、前市長を中心とした滞納整理事務にかかわる公の情報に基づいて報告するものであります。

(2)滞納処理経過表について
ア 滞納処理経過表の真実性について本委員会では、提出された滞納処理経過表のうち、特に他の様式と異なる、ワープロで記されたA4文書についての真偽が問題となりました。この点について、最終的には、前企画財政部長河井豊証人から、作成者は収納課長であり、内容については、基本的に一定要約はされて筆記されているものと考えておりますが、事実と異なるものはないと考えているとの証言がありました。また、滞納処理経過表の記載が正しいと言える根拠についても、河井証人から、私がかかわっていた内容を見ましても、正確に記されているところを根拠としたいとの証言がありました。
本委員会では、提出された滞納処理経過表は、事実と異なるものではないと判断し、当該滞納処理経過表の記載に基づき調査を進めてまいりました。

イ 滞納処理経過表の形式的不備について
今回提出された滞納処理経過表の形式的内容について、以下の問題点を調査いたしました。
ある案件において、滞納処理経過表に記載漏れ等空白期間があることについては、10年以上の過去のものは関係書類を廃棄しているために確たる理由は不明であるとの説明がありました。また、複数の案件では、当時の事務の解釈として特記事項を記載するという運用をしていたというようなこともありまして、何もしていなかった訳ではないとの説明がありました。また、ある案件の空白期間が長い理由については、2人の滞納処理経過表をあわせて処理しているためとの説明がありました。
次に、滞納処理経過表にかかわって、監査で指摘のあった鉛筆で記載されているものや、消去、改ざんなどが行われていなかったかについて市議会事務局職員において原本確認をしたところ、いずれも相違ないものと認めました。
次に、前市長の関与があったある案件において滞納処理経過表とは別様式のA4ワープロ打ち書式となっている点について説明を求めたところ、主に担当者が記載している経過様式とは別に、上席者を含めた管理職によるやりとりがあったので、当該管理職がまとめて作成したものとわかりました。また、当該案件のA4ワープロ打ち書式が平成25年6月24日から始まっていることについて、河井証人は、特殊事情がかかわっており、その具体的な内容については秘密に属するとの証言がありました。

(3)決裁権者について
監査結果では、上席者案件なる案件が存在することが指摘されていましたが、上席者について、河井証人から、上席者に市長が含まれ、市長が含まれる上席者案件につき、担当責任者は収納課長であるものの、市として行う事務ですので最高責任者は市長である旨の証言がありました。

(4)滞納税債権の時効成立可能性について
10月14日の市長以下説明員の出席を求めた委員会において、記録の空白期間が5年を超えている複数の案件について、滞納税債権に関し消滅時効は成立していないとの説明がありました。また、11月9日の証人訊問を行った委員会において、ある案件の滞納処理経過表には、差押え前5年間に時効中断事由が記載されていないことについて、河井証人から、口頭による承認があったと記憶しているとの証言がありました。

(5)木本前市長の関与について
滞納処理経過表によると、ある案件に関し、木本前市長が以下の発言をしていることが明らかになりました。
ある案件について前市長の関与に関する最初の記載は、平成25年6月25日「市長より1カ月待ってほしいと話があった」というものでした。その後、平成27年には木本前市長から担当課へ5回、平成28年には1回、「もう少し待ってほしい」との記載あったことが明らかになりました。上記記載等について事実関係を調査するため、10月28日開催の委員会において河井豊前企画財政部長及び木本保平前市長を証人として11月9日に出頭請求をしたところ、河井証人のみ証言をいただくことができましたが、木本証人は証言することなく退席されました。
まず、上記平成25年6月25日の記載について、河井証人は、一定要約はされていると考えますが事実には相違ござませんと証言されました。また、その日、木本前市長と面談をされた場所については、市長室であることも証言されました。
次に、木本前市長からの「待ってほしい」という発言について、河井証人から、払わせるので収納を待ってほしいと受けとめているとの証言がありました。また一方で、河井証人から、木本前市長は自主納付を進展させるという意図を持っておられたと感じていたとの証言もありました。
次に、差押え等滞納処分の検討時期について、10月14日開催の委員会において、平成25年の早い時期から差押えを検討しているとの説明がありました。また、11月9日開催の委員会において、平成25年の早い時期から差押えを検討していたことについて、河井証人も、いろんな選択肢の中で一定、検討の視野には入っていたと証言されました。
以上によれば、平成25年から始まった木本前市長による「待ってほしい」5との発言に対して、河井証人が、自主納付がより進むだろうとの期待を持ったことについては、初期の段階では、納税事務の最高責任者である前市長本人の発言から考えて、一定の合理性があることは否定できないものの、結果として、3年近く滞納処分をすることなく日時が経過しているという事実に照らせば、不可解、不自然と考えました。
そして、3年近く粘り強く納税交渉を継続したにもかかわらず、さして自主納付が進むことなく、最終的に差押えを行わざるを得なかったことに鑑みれば、前市長の度重なる「待ってほしい」という発言は、市の最高責任者として、不穏当な言辞であり、市の納税事務に不当な影響を与えるものであったと考えました。

(6)木本証人の出頭請求から退室までの経過について
10月28日開催の委員会において証人出頭請求を議決し、議長名にて同証人への証人出頭請求書を送付いたしました。
11月1日、同証人から「証人出頭請求書の受諾の件」なる文書が配達証明付郵便で議長宛に到達しました。その内容は、百条委員会を秘密会で行う場合は出頭を受け入れられない旨でありましたことから、11月4日に委員会を開催して秘密会で行う理由を明確に示すため「「証人出頭請求書の受諾の件」に対する回答」を議決し、議長名にて同証人へ送付いたしました。
さらに、11月8日、同証人から「百条委員会証人出頭要請の件」が配達証明付郵便で議長宛に到達しました。その内容は、あくまで秘密会で行う場合は出席いたしかねる旨でありましたことから、11月9日開催の委員会冒頭において、10月28日開催の委員会で決定したとおり、当日の証人訊問は秘密会で行うことを確認いたしました。
同日午後2時に同証人は委員会室に入室されましたが、秘密会を理由に退室され、証言を得るに至らなかったものであります。

(7)本委員会の判断
以上、6項目について概要を報告申し上げました。
当初の調査項目でありました(Ⅰ)滞納処理経過表の記載に関し監査委員から指摘のあった事項の事実関係の確認及び原因の究明については、(2)イに報告しているとおり、滞納処理経過表の記載について明確な方針がないことから、ずさんな交渉管理になっていることは否定することができず、今後はマニュアルを見直すなど、統一の方針を明確にするなどの対応が必要と考えます。
また、(Ⅱ)の滞納者の資金繰り等の関係で差押えが行われなかった事例の事実関係の確認及び原因の究明については、差押えが行われなかった事実関係を確認することができたものの、納税交渉の中の合理的な判断と認められるものがあった一方、ある案件については、複数回の資金繰りがうまくいかない状況があり滞納者の誠実な対応が見受けられない事実も明らかになりました。今後は、納税交渉の中で、より一層効果的、合理的な判断を重視し、必要な場合は速やかに滞納処分を決断できる体制が必要と考えます。現在課長専決となっている滞納処分についても、案件の重要性などを考慮し、上席者の迅速な判断が反映されるよう要望いたします。
また、(Ⅲ)関係者の関与等により差押え等の保留があったのではないかと思われる事例の事実関係の確認及び原因の究明については、前記のとおり、ある案件において、木本前市長が関与していることが明らかになりました。
木本前市長による「待ってほしい」との発言につき、河井証人は「払わせるので収納を待ってほしい」と捉えていたとの証言がありました。しかしながら本委員会は、木本前市長の上記発言は、差押えなどを待ってほしいという趣旨のものであったと判断するほかありません。その木本前市長の「待ってほしい」との発言を、一方で、河井証人は、自主納付を期待する意図と受けとめ、自主納付の期待をもって納税交渉に当たられていたようですが、結果として3年近く納税交渉が継続され、最終的に差押えがなされたことを考えると、河井証人が、仮に最後まで自主納付を期待していたとしても、その期待が裏切られたものと考えました。
次に、(Ⅳ)分割納付に関し、監査委員の指摘のあった事例の事実関係の確認及び原因の究明については、監査委員の指摘のとおり、毎年、同様の分割納付申請を繰り返していた事例、数年間の空白期間があった事例、分割納付申請を行ったものの、納付されなかった事例等が見受けられ、分割納付を認めるかどうかにつき、改善すべき点があるものと考えました。
次に、(Ⅴ)滞納処分に当たり上席者との協議等がなされていた3事案の事実関係の確認及び原因の究明については、監査結果のとおり、市税の滞納処分は収納課長専決であるが、収納課長を超えた上席者との協議等がなされていた事例が3事案であることを確認いたしました。

(8)終わりに
以上が本委員会の調査結果でありますが、本委員会の調査は、個人の税情報を理由に調査が進まないことが多々あり、困難を極めました。また、市長という地位にあった人物が関与したことにより、行政の滞納整理事務に適正とは言えない影響があったと判断するに至りました。
また、適正な手続きによる証人訊問を目指したにもかかわらず、身勝手な意向表明だけして退席するという木本証人の言動に、議会軽視の姿勢を認めました。
いずれにしても、ある案件の高額市税滞納者に対する滞納整理事務が特殊事情と相まって、木本前市長の不穏当な言辞によって不当な影響を受け、最終的に3年近く経過した後に差押えが行われていたという事例は、決してあってはならない市政執行であったと考えます。
今後、現市長は、行政の長としてのモラルがより一層問われる状況の中、公明性・公平性を重視した市政執行を推進してください。そして、滞納税債権の時効中断事由として答えられた口頭の承認という証拠保全は、本委員会としては、不十分な滞納事務と考え、改善を求めます。さらには、組織としてのコンプライアンス及び滞納整理事務を効果的かつ適正に実施できる体制を確立し、市政への信頼回復に努められるよう重ねて要望いたします。

茨木市議会 木本前市長の刑事告発を承認、維新会派は反対


木本保平前市長が在任中に親族の市税滞納処分を保留するように徴税吏員(市職員)に働きかけていたとされる問題について、5日の茨木市議会平成28年12月定例会でこの問題を調査してきた百条委員会の報告が行われた。

続いて百条委員会で証言拒否した木本市長を刑事告発する議案が可決承認された。木本前市長の支持母体だった維新会派のみ同議案に反対したもよう。

調査報告書では、徴税部署に対して滞納処理への木本市長の介入があったと認定した。親族の市税滞納に対してだったかは明確にしていない。また11月9日の委員会で木本前市長が証言拒否を行った経緯についても明らかにした。

刑事告発する議案(議員発第18号「証言拒絶に伴う告発について」)の提出者は、百条委員会(議会の請求に基づく監査の結果(監報第4号)に関する調査特別委員会)の上田光夫委員長ほか、朝田充・桂睦子・友次通憲・河本光宏の百条委員会委員の各市議。

滝ノ上万記副委員長(維新)と大村卓司(公明)・山崎明彦(維新)の各委員は提出者に名を連ねていないが経緯は不明。

議案が可決承認されたことで、市議会議長名で検察に告発状を提出するものとみられる。

地方自治法の第百条では、百条委員会への出席や証言を拒否した場合に禁錮や罰金の罰則が定められている。また出席や証言を拒否された場合、百条委員会が刑事告発することとされている。

茨木市議会は6月市議会最終日の6月30日に百条委員会設置を可決した。初めての百条委員会は7月6日に開かれ、10回にわたり調査を続けてきた。

11月9日の委員会では木本前市長が出席したが、非公開(秘密会)であることを理由に証言を拒否し、途中で退席していたという。

議会の請求に基づく監査の結果(監報第4号)に関する調査特別委員会調査報告について(PDF)

議員発第18号  証言拒絶に伴う告発について(PDF)