市民会館の建替え争点化で噛み合わぬ政策論争 茨木市長選


5日に告示された茨木市長選挙は、12日に投開票が実施される。6日には大阪府を含む7都府県に新型インフルエンザ等対策特措法にもとづく緊急事態宣言が出され、異例の選挙戦に突入した。

現職で無所属の福岡洋一氏(44)、新人で大阪維新の会公認の寺元博昭氏(58)の両陣営や有権者からは、新型コロナ肺炎の感染拡大が選挙に影響することを懸念する声もあったが、総務省は公職選挙法に定めれている期日での選挙を実施するよう求めた。

両陣営ともに集会や街頭演説も手控えムードの中、過去にない量のチラシを発行し新聞折込みやポスティングを実施した。

当初は双方とも政策を訴えていたが、大阪維新の会が福岡市政で進む市民会館の建替え計画について、近隣市の事業に比べて費用が高額、選定過程が不透明などとするネガティブキャンペーンを展開した。

福岡陣営も急きょ発行したチラシで反論するなど、市民会館の建替え問題が主要争点化した。他の政策については論争が深まらないままに投票日を迎える。

維新は内閣府地方創生推進事務局参事官としてまちづくりに関わった寺元博昭氏を擁立したにもかかわらず、自らその優位性を封じることになった形だ。

寺元氏の出馬で、福岡陣営も阪急茨木市駅とJR茨木駅の西口再開発も主要な争点に位置付けるとみられたが、市民会館建替え問題が争点化したことで、当初から掲げていた中学校の全員給食の実施、救急病院の誘致、子育てなどに重点をおいて訴えを展開している。

寺元陣営も、福岡市政は素人仕事でスピード感に欠けるとして、プロが期限を切って政策を実行すると訴えていたが、その政策を深堀りして訴えることができたとは言い難い状況だ。

たとえば「IBRAKI御堂筋」創造事業は、木本市長時代から浮上していた中央通りと東西通りのループを一方通行化する政策を深化させたものだが、そのネーミングの意味が有権者に伝わらず空回りしてしまった。

福岡陣営のキャンペーンも政策論争とはほど遠く迫力不足だ。福岡氏は茨木生まれ・茨木育ち、自身の子供も含めて茨木育ちだとして地元密着を訴えた。千葉県に本籍があり、千葉に持ち家もある寺元氏が落下傘候補だというイメージを強調する狙いだ。

官僚出身だけに寺元陣営は落下傘批判を予想していたとみられ、出馬表明から一貫して高校以前の経歴を隠してきた。集会などでは、祖父が大阪出身であることや息子が大阪市立大の医学部に在学していることなどを訴えて地元密着イメージを打ち出していたが、福岡陣営のキャンペーンで打ち消された格好だ。


地元密着を重視する大阪の有権者を意識したためか、大阪維新の会は選挙戦最終日の11日に吉村洋文大阪府知事を前面に打ち出したチラシを新聞折込みなどで配布した。

「大阪維新の会 代表代行 吉村洋文より 緊急のお願い」と題したチラシでは、吉村府知事が緊急事態宣言に対する市民の協力を要請すると同時に、同会代表の松井一郎大阪市長が「茨木市長選挙では、茨木再生を託せる『大阪維新の会の候補者』へご投票をお願いいたします!」と呼びかけている。なりふり構わない「寺元隠し」で維新か非維新の選択を迫ることで茨木市長選での支持を訴えている。

さらにこのチラシでは、福岡陣営が福岡氏の実績として宣伝している茨木市の新型コロナ肺炎対策を批判しているほか、市民会館建替え問題に対する福岡陣営の反論に再反論している。

さらには、高額な建替え費用を、小中学校の給食費無償化、コミュニティバスの導入、介護・福祉の充実に使うとして、福岡氏の政策も丸のみする姿勢を見せている。


日本維新の会幹事長の馬場伸幸衆議院議員はツイッターで寺元氏が「猛追し大接戦」とするが、緊急事態宣言と悪天候で投票率が下がる可能性が高く、組織票の弱い寺元陣営は危機感をあらわにした形だ。

【速報】2019年春ダイヤ改正で茨木駅新快速停車・岸辺駅快速停車は見送りに


JR西日本は、14日14時50分ごろ2019年3月16日に実施するダイヤ改正の概要を発表した。茨木駅の新快速停車・岸辺駅の快速停車は見送りになった。

《 近畿エリア 》
 ○ おおさか東線の全線開業
 ○ JR神戸線・JR京都線・琵琶湖線の座席サービスを充実
 ・有料座席サービス 新快速「Aシート」を開始
 ・JR神戸線の通勤時間帯に特急「らくラクはりま」を新設
 ○ 嵯峨野線に新駅を開業(梅小路京都西)

JR西日本の2019年春ダイヤ改正はきょう発表へ


JR西日本の来春のダイヤ改正の発表はきょう行われるようだ。すでにJR東日本やJR東海は概要を発表している。

おおさか東線の北区間の開業やJR京都線や神戸線の有料シート導入が正式に発表されるとみられるが、茨木駅の新快速停車、岸辺駅の快速停車も注目される。

2019年春ダイヤで岸辺快速・茨木新快速停車は?


JRグループ各社は今月中に2019年春のダイヤ改正を発表する。春のダイヤ改正は前年の12月第3金曜に発表するのが通例で、今年は21日になりそうだ。

春のダイヤ改正では岸辺駅の快速停車と茨木駅の新快速停車への期待が高まる。

以前から地元金融機関からの情報として、北大阪健康医療都市(健都)のまちびらきに合わせて岸辺駅に快速が停車するという噂がある。さらにそれと同時に茨木駅には新快速が停車するという情報も流れている。

しかし両駅の状況は明暗が分かれる。特に茨木駅では新快速の停車は厳しそうだ。


岸辺駅では吹田操車場跡地のまちづくり(健都)が完成を迎えつつある。11月には「ビエラ岸辺健都」が開業し、12月には吹田市民病院が移転・開業した。

大型マンションの開発も進み、来年夏には国立循環器病研究センターも移転してくる。乗降客数も大幅に増える見込みだ。

茨木駅では4月に商業施設がオープンした。飲食店ではピーク時には席が取れないこともあり、駅ナカは繁盛している。しかし駅周辺の状況は厳しさを増している。

西口でも茨木駅前ビルのテナント流出が止まらない。掛谷不動産と買取専門店が相次いで閉店し、地下の居酒屋も閉店したとみられる。ミュージックバーの「茨木グリル」も騒音問題を理由に改装し、11月に再開したが客足は増えていない。

東口ではパチンコ店が閉店し、マンションに建て替えられることになった。地震の影響で集合住宅への建て替えも進んでおり、多少人口は増える可能性もあるが大きく乗降客が増えることはなさそうだ。

さらにJR総持寺駅の開業で、一部乗降客の流出は避けられない。定期券の切り替え時期となる年度末に一気に移行する可能性もある。

2019年には、追手門学院も安威のキャンパスから中学や高校と一部の学部を東芝大阪工場跡地の新キャンパスに移転する計画だ。

新キャンパスはJR総持寺駅から徒歩で約10分の距離で、現在学バスが発着している茨木駅からJR総持寺駅に移行するのは確実だ。


茨木駅への新快速停車については、2014年8月に産経新聞が2-3年後をめどに検討を始めたと報じた。しかし茨木市や茨木商工会議所はこれを否定している。

少なくともこの段階では、新快速停車は検討されていなかったとみられ、2015年には商工会議所が会員に新快速停車を求める署名運動を展開している。

2015年に立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)、エキスポシティ(EXPOCITY)が、翌年には吹田スタジアムがオープンしたが、茨木駅の乗降客数は事前の予測ほど増えていない。

エキスポシティや吹田スタジアムへのバス便も減便が続き、現在は土日のみの運行となっている。吹田スタジアムの観客は便の少ないバスを避けて、徒歩で最寄の千里丘駅を利用しているようだ。

それでも茨木駅周辺では新快速停車の期待は続いてきた。2018年にはJR総持寺駅が開業し、茨木駅に商業施設が開業したことで、新快速停車の期待が盛り上がった。

その期待も外れたことで、茨木市や商工会議所も積極的に動き始めた。4月1日に行われたJR茨木駅の商業施設開業式典では、茨木市の福岡洋一市長があいさつでJR茨木駅西口の再開発と新快速停車の実現に強い意欲を示した。

JR西日本の首脳が同席していることを念頭にした発言としては異例の踏み込んだ内容で、列席した関係者は一様に驚きを隠さなかった。

また商工会議所も「JR茨木駅に新快速をとめる運動」を展開する。委員会を開催してJR西日本への働きかけを進めている。

しかし、市や商工会議所の関係筋によると来春の茨木駅の新快速停車は厳しそうだ。仮に岸辺駅の快速停車だけが実現すれば、大阪駅から2駅、新大阪の次という快速停車駅としての茨木駅の地位は落ちることになりそうだ。

岸辺駅開発でJR茨木駅への新快速停車に期待感


11月17日、岸辺駅に隣接する北大阪健康医療都市(健都)にJR西日本不動産開発が商業施設「VIERRA(ビエラ)岸辺健都」をオープンする。

北大阪健康医療都市(健都)は吹田市と摂津市が吹田操車場の跡地で進めるまちづくり事業だ。商業施設のほか、国立循環器病研究センターと市立吹田市民病院が移転する。
JR岸辺駅健都(ビエラ岸辺健都・国立循環器病センター)写真=VIERRA岸辺健都(左)と国立循環器病センター(右)

さらに近鉄不動産などが824戸の大型マンションを建設・分譲中だ。

今後岸辺駅の乗降客数が増えることが見込まれることから、岸辺駅への快速停車が取りざたされる。

岸辺駅の快速停車と同時に茨木駅への新快速停車もうわさされており、12月にも発表される来年春のダイヤ改正への期待が盛り上がっている。


VIERRA岸辺健都は、健都がめざす健康・医療のまちづくりに即した「健康増進機能」と「生活利便機能」を持つ。「特に健康増進機能に資する店舗構成」(JR西日本)という。

生活利便機能につながるテナントとして、「カンデオホテルズ大阪岸辺」や平和堂の食品スーパー「フレンドマート」、喫茶店「からふねや」や牛丼店「吉野家」などの飲食店、100円ショップ、ドラッグストア、保育園などが出店する。

健康増進機能については、フィットネスクラブ「グンゼスポーツ吹田健都」や医療モール「健都クリニックモール」が入居する。医療モールにはクリニックや検診施設、調剤薬局、通所介護施設などが入る。

さらに、市立吹田市民病院が、吹田駅に近い片山町から移転する。10月24日には「火入れ式」を済ませており、移転準備が最終段階を迎えている。12月4日から新病院で外来診療を開始する予定だ。

国立循環器病研究センターも来年7月1日の移転にむけて新病院がまもなく竣工する。
国立循環器病センター写真=国立循環器病センター

健都の千里丘側には近鉄不動産などが「ローレルスクエア 健都ザ・レジデンス」を建設を進めている。すでに1期棟は完成しており、入居が始まっている。来春以降に2期・3期棟も分譲予定だ。
ローレルスクエア健都ザレジデンス_1期写真=ローレルスクエア 健都ザ・レジデンス1期棟(手前)

大阪駅へ11分という交通の便の良さに加えて、国循と連携した健康管理サービスが売りだ。

VIERRA岸辺健都や吹田市民病院の開業を皮切りに、来年にかけてJR岸辺駅の乗降客数が大幅に増えそうだ。

岸辺駅の乗降客数は1日3万人ほどと、ここ数年微増傾向が続いている。4万人を超える吹田駅に迫る可能性もある。

吹田駅は新大阪駅と近く、快速を停車させるメリットは少ない。しかし、岸辺駅は新大阪・茨木の両駅と距離があることから、快速停車のメリットがあるとみられる。

かねてから地元では岸辺駅への快速停車のうわさがある。岸辺駅への快速停車と同時にJR茨木駅へ新快速を停車させるという見方も強く、12月のダイヤ改正発表に期待が集まっている。

仮に岸辺駅への快速停車だけが実現すれば、茨木駅のさらなる地盤沈下は避けられない。茨木市内でも危機感は高まっており、茨木商工会議所も新快速停車を実現するための取り組みを進めている。

4月1日に行われたJR茨木駅の商業施設開業式典では、茨木市の福岡洋一市長があいさつでJR茨木駅西口の再開発と新快速停車の実現に強い意欲を示した。

JR西日本の首脳が同席していることを念頭にした発言としては異例の踏み込んだ内容で、列席した関係者は一様に驚きを隠さなかった。

しかし茨木市役所は新快速停車実現には厳しい見方をしており、12月のダイヤ改正発表にむけて関係者は気が休まらない日々が続きそうだ。