エリマネ懸念やモノレール構想も原因か


 昨年末に茨木市がJR茨木駅西口の再開発を断念したことがわかった。関係者によると再開発が挫折した背景には茨木駅前ビルの問題もあるという。


 茨木市が再開発を検討してきたJR茨木駅西口駅前周辺地区は、茨木駅前ビルと同ビルの東側の線路に沿った細い通路も存在するエリアと南側の接道していない再建築不可の土地もあるエリア、さらに茨木市とJR西日本が半分ずつ所有する協定広場、JR西日本の用地などで構成される。
 茨木駅前ビルは対象地区で約4000平米と最大の面積をしめる。この茨木駅前ビルの事情も茨木市が再開発を断念した理由だと指摘する証言もある。


 関係者によるとある茨木市の職員が「仮に再開発が進んでいたとしても(茨木駅前ビルや地権者が)まとまらない」と語ったという。その背景には茨木駅前ビル管理組合の組合員が不動産業者と組んで再開発構想を茨木市都市整備部まちなか整備課に持ち込んだり、管理組合の役員でも茨木市が主導する再開発を否定する動きがあるという。
 さらに茨木市は再開発をハコモノに終わらせないために、再整備後にエリアマネジメント組織を立ち上げてイベント開催などにぎわいづくりなどを行うことを想定しているが、茨木市のまちづくりを妨害する組合員がいるという。
 また、2023年12月に「北大阪環状モノレール構想」が持ち上がったことも再開発を断念した背景だという証言もある。モノレールはJR茨木駅にも駅を設置するとしているが、茨木市はモノレール構想には否定的だ。都市計画の変更に際して「モノレールをねじこまれる」のを避けたという。

ねたみで挫折、JR・阪急の駅前再開発


 昨年末に茨木市がJR茨木駅西口の再開発を断念したことがわかった。すでに2022年7月には茨木市は阪急茨木市駅西口の再開発も断念し、永代ビルと茨木ビルの2棟から構成されるソシオ茨木は自主建替えに追い込まれた。阪急茨木市駅とJR茨木駅の両駅前の再開発が挫折した背景を関係者の証言をもとに探る。


 昨年11月に開催された「JR茨木駅西口駅前周辺地区まちづくり協議会」で茨木市は補助金という形の財政負担と容積率(600%)の緩和について否定的な立場を示した。
 市は配布資料で再開発補助金については新たな公共的な意義に対して交付するとした。JR茨木駅西口についてはすでに一定の公共的整備が済み周辺に公共施設等が立地するため、再開発に新たな公共的価値は見込めないとした。
 茨木市は中心市街地の活性化について「2コア1モール」を標榜してきた。JR茨木駅と阪急茨木市駅西口という2つのコアに交通結節点として人が集まりその周辺に商業が集積している。
 だが両駅間は徒歩で20分ほど離れていることで往来が少なく、中心市街地活性化の妨げになっているという見方があった。そこで2つのコアを結ぶ中央通りや東西通りに人流を作り出し、その沿道の商店街(モール)ににぎわいを作り2つのコアもさらに活性化するというものだ。
 2023年に2コアを結ぶモールの中間地点で開館した文化・子育て複合施設「おにクル」は、茨木市中心部に人を集めることに成功した。連日子育て世代や子どもが集まり、おにクルや周辺広場などでは土日を中心にイベントも開催されて市外からも集客できている可能性もある。
 おにクルの成功で駅前にわざわざ公共施設を整備する必要性が薄れたという立場だ。さらに自動運転の普及なども予想されることから駐車場など駅前ならでは交通機能の重要性も低くなっている。
 容積率の緩和については、すでにJR西口では茨木市の商業地区の標準的な水準である400%から600%に緩和しているとし、阪急西口が容積率を緩和することなく自主建替えを進めていると指摘した。さらに阪急西口の再開発構想に対して、都市計画審議会が駅前における都市機能と住機能のバランスについて指摘したこともあげた。都市計画審議会は駅前再開発で住宅を増やすことに消極的な立場だ。
 茨木市が打ち出したJR西口で新たな公共施設の必要性は低く、駅前では住宅の増加を抑制するという考え方は、従来の市の立場とは正反対だ。
 とくに駅前で住宅の増加を抑制するのは再開発の常識に反する。全国的に駅前の再開発では建物を高層化して保留床を確保する。下層階は商業施設・公共施設・オフィスやホテルなどだが、中上層階はタワマンとして分譲し、事業費を確保するのが一般的だ。住宅を増やして地権者以外にも販売しなければ再開発事業は成立しない。


 この急転換の予兆はあった。昨年4月に茨木市は都市整備部市街地新生課を都市整備部まちなか整備課へと組織改正した。
 しかし人員や事務分掌についてはほぼ従来通りだった。JR西口と阪急西口に分かれていた担当グループを拠点整備グループに一本化したのみだ。組織改正したのは市街地を新生することがなくなったから名称を変更するためだったとの見方が広がっている。
 ほかにも2024年11月の「まちづくり協議会」で茨木市は経済条件の悪化を強調していた。アフターコロナやウクライナ侵攻に端を発する物価高騰による建築費の上昇で再開発事業が採算割れする可能性を示唆していた。
 ただ一方でこの時期に茨木市は「JR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画」の策定を目指してJR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画協議会を開催していた。
 基本計画には策定後の事業の進め方も織り込んでおり、2024年末ごろまでは茨木市も再開発を断念していたようすはない。
 では急転換のきっかけは何だったのか。多くの関係者があげるのが建築費の急騰だ。2024年11月のまちづくり協議会で茨木市が強調していたが、2025年になって明らかに採算が取れないことが明らかになったという。つまり早期に計画がまとまっていれば再開発は進んでいた可能性がある。


 ある関係者によると計画が遅れたの原因は「ねたみ」だという。コロナ禍さなかの2020年6月、茨木市は阪急茨木市駅西口駅前周辺整備基本計画(案)を公表した。永代町の市営阪急茨木西口駐車場を廃止して跡地に40階を超える住宅棟を建設し、現在の永代ビル跡地に低層の商業棟を建設するというものだ。
 ところがこの案に対して高瀬川を挟んで住宅棟と対面することになる別院町の自治会有志などが反対した。市営駐車場に隣接する別院町にあるマンション管理組合や賃貸アパートのオーナーであるM氏らが主導した。
 さらに茨木ビル内に事務所がある労働組合「サポートユニオンwithYou」や左派市議会議員などもパチンコ店が入るビルの再開発に茨木市が駐車場用地を提供したうえに財政負担することを批判するなどした。
 2020年9月に開催された市民向けの説明会は反対派が集まり、茨木市職員の吊し上げの様相を呈した。わずかにいた一般の市民は質問で「前向きな計画だと期待したのになぜ反対ばかりなのか」と困惑した。11月には460筆の「超高層建築物建設反対署名」が提出された。
 説明会と署名提出を期に都市計画審議会や説明会に参加していた市議は、再開発や高層化に慎重な姿勢に転じた。とくに2021年1月に市議選を控えた市議会では再開発推進派は選挙に強い一部の維新市議を除いて鳴りを潜めた。
 市議選からまもない2021年2月には1434筆の反対署名が提出された。コロナ禍もありこの年は茨木市も具体的な動きをみせなかった。JR側では「JR茨木駅西口周辺WEBアンケート」を実施した。
 2022年2月には「超高層マンション建築に反対する別院町自治会有志の会」が茨木市長に「超高層建築物の無い阪急茨木市駅西口再開発を求める請願書」を、都市計画審議会に「阪急茨木市駅西口再開発について市民の「議論の場」の設置および市民への十分な広報の実施についての請願書」を提出した。
 2022年6月には茨木市は「これまでのご意見・議論を踏まえ、計画案の見直しと阪急茨木西口駐車場を再開発事業の検討区域から除外する」と発表し、「今後多くの方から共感と協力を得られるまちづくりに取り組」むとした。
 茨木市は阪急茨木駅前ソシオ管理組合に対して、永代ビルと茨木ビルの敷地を買取り70年の定期借地権つきマンションを建設する案を示したが、同組合は管理組合総会で自主建替えを決議した。
 JR茨木駅西口では「多くの方から共感と協力を得られるまちづくり」を進めるとして、アンケートに続いて2023年には市民を対象にJR茨木駅西口のまちづくりに関するワークショップを開催した。駅前にあるべき機能や過ごし方を討論するなどしてグループごとに模型で理想のまちづくり案を発表した。11月26日にはおにクルの開業にあわせてJR茨木駅西口のタクシープールをウォーカブルな広場化する社会実験を実施した。広場にはキッチンカーが出店したり、ゲームや読書をできるような空間を設けた。
 このころ茨木市はJR茨木駅西口のまちづくり協議会に対して2024年度は「JR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画」を策定し、その後にまちづくり協議会を発展的に解消して具体的な建替え検討組織を発足させる方針を示したという。
 阪急茨木市駅西口の計画案が近隣の反発を買ったことで茨木市はJR茨木駅西口の再開発は「多くの方から共感を得る」としてアンケートやワークショップを開催した。さらに都市計画審議会を説得するために駅前周辺整備基本計画を策定することで3年以上の時間を費やすことになった。しかし、基本計画を策定するために1年かけて協議会を重ねるうちに建築費の高騰が進むことになり、JR茨木駅西口の再開発も断念に追い込まれた。


 2025年10月下旬、茨木市は永代ビルと茨木ビルの自主建替えに関連して都市計画の説明会を実施した。多くの地権者が茨木市のこれまでの進め方を批判する中、別院町の賃貸アパートのオーナーであるM氏が発言した。
 「こちらも高い建物を建てたいと言ったが認められなかった。なぜ道路一本隔てただけで高層化できないのか」「私はそもそもタワマンは反対」
 再開発に対する反対運動の動機は「ねたみ」だった。

茨木市、JR西口再開発を断念


 茨木市がJR茨木駅西口の再開発を断念したことがわかった。昨年11月22日に開催された「JR茨木駅西口駅前周辺地区まちづくり協議会」で事務局を担当する茨木市都市整備部まちなか整備課が明らかにした。
 2014年ごろから茨木市は再開発を軸にJR茨木駅西口駅前周辺地区を再整備することを検討してきた。昨年4月に「JR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画」を策定したばかりだ。
 協議会で市は「再開発事業による事業成立は困難」として他の事業手法を検討する必要があるとしており、方針を転換した。そのうえで市が補助金という形で財政負担をすること、現行の容積率(600%)を緩和することについて否定的な見解を示した。高さ制限については「超高層建築物の立地に関する基本的な方針」に適合すれば阪急茨木市駅西口並みの緩和に含みを残した。
 基本計画は、現行の都市計画を変更することなくエスカレーター新設や歩道橋の改修など小規模な整備のみにとどめて進めることになりそうだ。

JR茨木駅西口再開発、再始動へ


 JR茨木駅西口の地権者らで構成する「JR茨木駅西口駅前周辺地区まちづくり協議会」が11月22日に開催されることがわかった。2024年11月以来ほぼ1年ぶりの開催で、茨木市が4月に「JR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画」を策定してから初となる。

 協議会では事務局を担当する茨木市都市整備部まちなか整備課が、今後の整備方針や進め方を提案するものとみられ、JR茨木駅西口に再開発が再始動することになる。


 基本計画の策定以降、阪急茨木市駅西口は自主建替に向けて都市計画審議会や地元むけ説明会が開かれるなどしていたが、JR茨木駅西口は目立った動きがなかった。地権者や関係者の間では動きがないことにいぶかしむ声もあった。

 茨木市は4月の定期異動で都市整備部長に岡田直司氏を据えた。岡田氏は市街地新生課や北部整備推進課など都市整備畑が長い。安威川ダム周辺整備やいばきた(茨木市北部地区)の活性化なども担当し、2023年に公園緑地課長に転じて「おにクル」の開業にあわせた周辺の公園や緑地の再整備を指揮してきた。茨木市の重点プロジェクトにかかわってきた岡田氏の起用は「茨木市もJRと阪急の駅前整備に本気で取り組むということ」(関係者)ととらえられえていた。

 また、市街地新生課がまちなか整備課に改組された。人員態勢や担務などに変更はないというが、これまでJRと阪急で別のチームが担当してきた駅前再整備が「拠点整備グループ」に一本化された。阪急茨木市駅西口の再整備方針が自主建替になったことが理由とみられる。いっぽうで市街地新生課発足から在籍していた中堅職員が3月に退職した。この職員は阪急側の再整備を担当するチームのリーダーだったため、人材不足も影響している可能性がある。

 こうしたことから、まちなか整備課も阪急茨木市駅西口で手いっぱいでJR茨木駅西口の再整備までは手が回っていないのではないかという見方もあった。ただ、都市計画審議会でもすでに2回にわたって検討され、地元むけ説明会もこなしたことから、JR茨木駅西口にも対応できるようになったとみられる。


 茨木市が策定した「JR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画」では、JR茨木駅西口では「多様な活動の場となる広場の整備」「魅力的な賑わい空間の創出」「新たな茨木の顔となる景観の形成」「公共交通の利便向上」「車両動線の検討」「立地特性を踏まえた都市機能導入の可能性」「西口と東口のつながり(駅東西の動線)」などの整備イメージを提示している。

 また、今後の進め方について①事業検討②事業実施③活用・マネジメントのフェーズを想定している。①の事業検討フェーズでは合意形成にむけて検討組織の設立、事業計画の検討・事業手法の検討、実施組織設立・事業計画作成などをおこなう。また、市民や駅利用者の共感を得るために、商店街等との連携などの取組みを検討し実施するという。②の事業実施フェーズでは詳細設計や各種工事を実施する。ここまでに交通やデザインなどの面で関係機関との協議や調整を行う。

 ③活用・マネジメントフェーズではエリアマネジメント組織を設立し、施設運営、オープンスペースの活用、エリアマネジメント活動を展開していく。
 
 茨木市は22日の協議会で事業検討の第一歩となる検討組織の設立について提案するものとみられる。既存のまちづくり協議会を活用する可能性もあるが、これまで茨木市主導で動いてきたため、地権者主導に切り替えるために新たな組織に模様替えする公算が大きい。

衆院選、大阪9区は新人5人の争い


 10月27日投開票の衆議院選挙がきょう公示された。茨木市を含む大阪9区では、社民党公認の長崎由美子(68)、日本維新の会の萩原佳(47)、参政党公認の片岡真(33)、自民党公認・公明党推薦の東田淳平(41)、無所属の磯部和哉(52)の新人5氏が立候補している。

 日本維新の会現職の足立康史氏(59)は、党内の公選法違反を指摘したことで6か月の党員資格停止処分をうけて公認されなかったうえ、対抗馬として茨木市議だった萩原氏が公認されたことで、政界引退を決めた。


 10月6日、足立氏はX(旧ツイッター)で衆院選からの撤退と政界引退を表明した。8日には日本維新の会は、萩原氏の公認を発表した。

 足立氏が出馬して日本維新の会系が分裂する可能性も指摘されていたが、ひとまず分裂は回避した格好だ。ただ萩原氏の選挙ポスターの掲示が他候補に比べて出遅れており、ポスターの準備が間に合っていないか、支援組織の態勢が整っていない可能性がある。

 長崎氏と片岡氏の支援者は茨木市内全域でいち早くポスターを掲示を済ませている。東田陣営も茨木青年会議所のメンバーなどが手分けしてポスターの掲示を進めている。


 選挙戦は萩原氏と東田氏を軸に進むとみられるが、維新は兵庫県の齋藤知事によるパワハラ問題の対応や万博運営をめぐるごたごたで支持を落としている。自民党も統一教会や裏金の問題で強い逆風が吹く。

 選挙戦の行方は混とんとしているが、萩原氏も東田氏も阪急・JR駅前の再開発には積極的だ。萩原氏は市議として再開発の動きの遅さを再三指摘してきた。

 東田氏は、茨木市の福岡洋一市長が推薦しており、自民党や公明党の市議団と連携して茨木市政の「与党」側にいるため、再開発の動きを国政からバックアップできそうだ。


 今回の衆院は、JR茨木駅西口や阪急茨木駅西口の再開発にとって大きな転機となりそうだ。

愛称で両駅前の再開発を加速


阪急茨木市駅西口とJR茨木駅西口で検討が進められている市街地再開発について、愛称をつける方向で検討されていることがわかった。

両駅前の再開発について市民の関心を高めることで、できるだけ多くの市民を巻き込んでスムーズに再開発を進めたい考えだ。

しかし、整備基本計画については決まっていないため、施設に対するものではなくプロジェクトの愛称になる見通し。

関係筋によると、今回の愛称は「あくまで仮のもの」として公募しない。予算がないことも公募しない理由だ。

また、この関係者は阪急茨木市駅については「マルクル」、JR茨木駅については「シン・クル」が有力だと語った。

阪急茨木市駅については、阪急電鉄のコーポレートカラーであるマルーンを意識したという。JR茨木駅については、JR西日本が茨木駅に新快速を停車させたくなるよう誘導するメンタリズム的効果を期待したという。


2020年6月に明らかになった阪急茨木市駅西口駅前周辺整備基本計画案は、周辺住民等の反発が強く、計画の変更に追い込まれた。

計画案へのパブリックコメントの募集がローカルメディアや都市開発系ブログなどで取り上げられ、一気に市民の周知が進んだ。

しかし、市民への事前の周知が少なかったため、多くの市民にとっては唐突感があり、市民から計画案への明確な支持が得らなかった。

その反省から、茨木市はJR茨木駅西口の再開発では市民対象のアンケートやワークショップを開催するなど、地権者や周辺住民だけではなく、多くの市民を巻き込んで検討を進めている。

愛称には、さらに多くの市民に周知してもらい、まちづくりの応援団になってもらう狙いがありそうだ。

衆院選きょう投開票


 衆議院選挙は、10月31日投開票が行われる。茨木市を含む大阪9区では、自民党の現職で元防衛副大臣の原田憲治(73)、社民党の新人で党副党首の大椿裕子(48)、日本維新の会の現職で党幹事長代理の足立康史(56)、無所属の新人で医師の磯部和哉(49)の四氏が立候補している。

 マスコミ各社の分析では、足立氏と原田氏が抜け出しているようだ。大椿氏は、野党統一候補とはいえ浸透しきれず、組織力の乏しい磯部氏はポスターすら貼りきれていない。上位2候補では、足立氏が先行し原田氏が追い上げる戦いとなっているようだ。党の「73歳定年制」で比例代表に重複立候補できず、小選挙区で敗れれば復活がない原田陣営の危機感は強い。

 西銘恒三郎復興担当大臣、小渕優子自民党組織運動本部長、石破茂元自民党幹事長、古川禎久法務大臣、佐藤正久参議院議員、鈴木貴子外務副大臣、片山さつき元地方創生担当大臣、三原じゅん子前厚生労働副大臣、小野寺五典元防衛大臣、高市早苗政調会長、加藤勝信前内閣官房長官など有力者が応援演説に駆けつけて支持の掘り起こしに懸命だ。推薦する公明党も石川博崇参議院議員などを投入している。
原田憲治候補の応援演説を行う石破茂元自民党幹事長

 いっぽうで足立陣営への大物の応援は、公示前の9日に日本維新の会の副代表で吉村洋文大阪府知事が茨木駅西口で応援演説を行っただけ。代表の松井一郎大阪市長や吉村氏が、大阪7区(吹田市・摂津市)の奥下剛光氏や、10区(高槻市・三島郡島本町)の池下卓氏の応援に頻繁に足を運ぶのとは対照的だ。

 自民党の大阪府連会長である原田氏と戦う9区は、維新には落とせない選挙区だ。比例代表重複があるとはいえ他の選挙区を優先するのは、維新の情勢分析でも足立氏が先行しているということだ。

 足立氏は、ツイッターで「維新優勢報道が続いていますが、4年前も優勢報道の末に2千票の僅差で負けました。大阪9区の自民候補は大阪の大将。本気の公明党、野党系地方議員などの組織票が積み上がり、完全に互角の激戦。」と陣営を引き締める。


 選挙の結果次第では、大阪9区から自民党の衆院議員が不在になる。そうなれば下部組織も弱体化する可能性がある。地元選出の代議士が不在となれば、自民党の茨木市支部は府議選、市長選、市議選と2023年から3年間連続する地方選挙で厳しい戦いを強いられそうだ。

 前回の衆院選では等距離外交に徹した福岡洋一市長も、昨年の市長選で維新が対立候補を擁立したことで、今回は原田氏の応援に回った。自民党茨木市支部が弱体化すれば次回の市長選挙では、苦しい立場に追い込まれる可能性もある。

 茨木市の市政の勢力図が塗り替われば、JR茨木駅西口や阪急茨木駅西口の再開発も大きな影響をうけそうだ。維新・公明・自民が拮抗する三どもえ状態が解消すれば、大きく前進する可能性もある。


 維新に近い菅義偉前首相が退陣し、岸田文雄政権が発足したことで、維新は自民党との対決姿勢を鮮明にしている。党勢拡大のためのポーズの可能性もあるが、全面対決になって府政や茨木市政が維新一色となれば、中央との距離が開くこともありえる。

 大阪・関西万博やIR以降の、関西の国際金融都市化や駅前再開発などの大小の投資案件に、政府からの支援を受けにくくなる可能性もある。


 今回の衆院選が、JR茨木駅西口や阪急茨木駅西口の再開発にとって大きな転機となりそうだ。

足立氏、茨木の自公切り崩しへ


 19日に公示された衆院選は、投開票まで残り1週間になった。茨木市を含む大阪9区には、自民党の現職で元防衛副大臣の原田憲治(73)、社民党の新人で党副党首の大椿裕子(48)、日本維新の会の現職で党幹事長代理の足立康史(56)、無所属の新人で医師の磯部和哉(49)の四氏が立候補した。
隣り合う原田憲治衆院議員選挙事務所・足立康史衆院議員選挙事務所写真=ほぼ隣接する原田憲治候補と足立康史候補の選挙事務所
 選挙の結果次第では、大阪9区では自民党の衆院議員が不在となる。市長が比較的自民党と近く、市議会でも維新に比肩する勢力を占め、府議会にも議席を持つ茨木市の自民党勢力が数年以内に切り崩されることもありそうだ。


 マスコミ各社の序盤情勢分析によれば、原田、足立両氏が他候補を引き離し接戦を演じているという。特に維新の足立氏は、コロナ禍対応で評判を上げた吉村文洋大阪府知事の人気もあり、有利に戦いを進めているとみられる。
吉村洋文府知事を前面に出す足立康史衆院議員のポスター写真=吉村洋文府知事を前面に出す足立康史衆院議員のポスター
 いっぽう原田氏は、自民党の「73歳定年制」により比例代表に重複立候補できず、小選挙区で敗れれば復活はない。足立氏の地盤でもある茨木を中心に選挙区をくまなく回るローラー作戦を展開し、背水の陣の構えだ。


 前回の衆院選でも足立氏は原田氏に約2000票差まで詰め寄っていたが、昨年以来、箕面と池田では市長選を維新が制しており、足元で勢いが増している。特に池田市長選挙は、市長室へのサウナ持ち込みなどで維新の富田裕樹前市長が辞職したことによる出直し選挙で、富田氏の元秘書で前市議の滝沢智子氏が当選しており、維新への追い風が吹いている。
 維新の松井代表や足立氏とSNSなどで中傷合戦を繰り広げ裁判沙汰になった大阪9区の府議団も、昨年11月に実施された大阪都構想の住民投票でも自民党の原田亮(箕面市)・占部走馬(茨木市)の両氏が都構想賛成に回るなど、原田氏を支える組織にきしみがみられる。
 国政では自民と連立を組む公明も、2019年の府議選で維新が圧勝したことで、大阪都構想の2回目の住民投票では都構想に賛成しており、前回の総選挙よりも自民党府連との距離は開いている。
 また、岸田文雄政権では公明と近いとされる二階俊博前幹事長が失脚しており、反公明と目される甘利明氏が幹事長に就任していることから、支持母体の票をまとめ切れるか不透明だ。
 このまま足立氏が逃げ切って小選挙区で当選すれば、自民党は大阪9区を地盤とする衆院議員が不在となる。


 大阪9区の自民党衆院議員が不在になれば、下部組織も弱体化する可能性がある。地元選出の代議士が不在となれば、自民党の茨木市支部は府議選、市長選、市議選と2023年から3年間連続する地方選挙で厳しい戦いを強いられそうだ。


 2021年3月に足立氏は選挙区内に掲示したポスターで、2023年に予定される次の府議選で茨木市選挙区には二人の候補を擁立すると明言した。現職の松本利明府議とは別に候補を公募するという。
 茨木市選挙区は定数3を、維新の松本氏、自民の占部氏と公明の中野剛氏が議席を分け合っており、維新が2議席を占めれば、手堅く票をまとめる公明よりも自民が議席を失う可能性がある。中傷合戦で裁判相手となった占部走馬府議に対する揺さぶりであると同時に、都構想には賛成しただけに秋波を送っている可能性もある。


 原田氏の選挙事務所は、占部府議の事務所を使うなど強固な関係をアピールするが、原田氏が「ただの人」になれば、占部氏が切り崩されることもありえる。
 自民党の茨木市支部のスポンサーである占部氏が自民から離脱することがあれば、茨木市の政治勢力図はオセロゲームのように、一気にひっくり返ることになる。そうなれば福岡洋一市政で野党色を強めていた維新が福岡氏を取り込んで公認するか、独自候補を擁立することで、与党に返り咲くこともありえる。


 茨木市議会では維新、公明、自民の勢力が拮抗しており、福岡市長も各党も大胆な政策を打ち出しづらい状況だ。
 もし茨木市の自民勢力が維新に同調したり、取り込まれることがあれば、成長志向が強く、開発に積極的な勢力が結集しすることになる。そうすれば、公明党や共産党など分配への志向が強く、開発に消極的な勢力を抑えて、JR茨木駅西口や阪急茨木市駅西口の再開発が大きく進展する可能性もありそうだ。

2021年からのJR茨木駅新快速停車は望み薄


JRグループ各社は12月18日に2021年3月のダイヤ改正を発表するとみられる。

ここ数年JR茨木駅への新快速停車が期待されてきたが、今回の発表では望みは薄そうだ。コロナ禍で利用者が激減した鉄道各社は厳しい経営を強いられており、新たな施策は期待しにくい。

JR西日本も例外ではなく、同社が9月に発表した2021年3月期の業績は、売上高が39%減の9,200億円(前期1兆5,082億円)と低迷する見込みだ。

さらに営業損失が2,900億円(前期営業利益1,606億円)、経常損失3,050億円(前期経常利益1,483億円)、純損失2,400億円(前期純利益893億円)と大幅な赤字を予想している。

昨年から終電の繰上げを検討するなど、コスト削減を進めてきたJR西日本は、さらなる守りの経営に徹することになりそうだ。

新快速停車駅の追加など新たな投資を要する施策は考えにくく、2021年ダイヤ改正は終電繰上げが核になりそうだ。

大阪駅から京都方面に向かう24時台の京都線は5本だったが、2本に削減される見込みだ。

JR西日本によると、大阪方面から茨木駅に到着する終電は、現在は大阪駅24時31分発の高槻行だが、大阪駅発24時10分発と20分以上繰り上げられる。

逆方向の京都方面からは、24時以降に到着する電車はなくなりそうだ。


茨木駅への新快速停車については、2014年8月に産経新聞が2-3年後をめどに検討を始めたと報じた。しかし茨木市や茨木商工会議所はこれを否定している。

少なくともこの段階では、新快速停車は検討されていなかったとみられ、2015年には商工会議所が会員に新快速停車を求める署名運動を展開している。

2015年に立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)、エキスポシティ(EXPOCITY)が、翌年には吹田スタジアムがオープンしたが、茨木駅の乗降客数は事前の予測ほど増えていない。

エキスポシティや吹田スタジアムへのバス便も減便が続き、現在は土日のみの運行となっている。吹田スタジアムの観客は便の少ないバスを避けて、徒歩で最寄の千里丘駅を利用しているようだ。

それでも茨木駅周辺では新快速停車の期待は続いてきた。2018年にはJR総持寺駅が開業し、茨木駅に商業施設が開業したことで、新快速停車の期待が盛り上がった。

その期待も外れたことで、茨木市や商工会議所も積極的に動き始めた。4月1日に行われたJR茨木駅の商業施設開業式典では、茨木市の福岡洋一市長があいさつでJR茨木駅西口の再開発と新快速停車の実現に強い意欲を示した。

JR西日本の首脳が同席していることを念頭にした発言としては異例の踏み込んだ内容で、列席した関係者は一様に驚きを隠さなかった。

また商工会議所も「JR茨木駅に新快速をとめる運動」を展開する。委員会を開催してJR西日本への働きかけを進めている。

2020年の茨木市長選では、福岡市長と寺元氏のいずれの候補もJR西日本に新快速停車を働きかける考えを示しており、今後も市を挙げての運動が続きそうだ。

しかし、コロナ禍の影響でJR西日本も、新たな施策を打ち出す環境ではない。ワクチン接種が始まるなどコロナを克服したとしても、経済の急回復は期待できず、JR西日本も厳しい綱渡りを強いられる。

次に動きがあるとすれば、2023年の東海道本線貨物支線(梅田貨物線)の地下化とうめきた2期地区に大阪駅新ホームが開業するタイミングになりそうだ。