エリマネ懸念やモノレール構想も原因か


 昨年末に茨木市がJR茨木駅西口の再開発を断念したことがわかった。関係者によると再開発が挫折した背景には茨木駅前ビルの問題もあるという。


 茨木市が再開発を検討してきたJR茨木駅西口駅前周辺地区は、茨木駅前ビルと同ビルの東側の線路に沿った細い通路も存在するエリアと南側の接道していない再建築不可の土地もあるエリア、さらに茨木市とJR西日本が半分ずつ所有する協定広場、JR西日本の用地などで構成される。
 茨木駅前ビルは対象地区で約4000平米と最大の面積をしめる。この茨木駅前ビルの事情も茨木市が再開発を断念した理由だと指摘する証言もある。


 関係者によるとある茨木市の職員が「仮に再開発が進んでいたとしても(茨木駅前ビルや地権者が)まとまらない」と語ったという。その背景には茨木駅前ビル管理組合の組合員が不動産業者と組んで再開発構想を茨木市都市整備部まちなか整備課に持ち込んだり、管理組合の役員でも茨木市が主導する再開発を否定する動きがあるという。
 さらに茨木市は再開発をハコモノに終わらせないために、再整備後にエリアマネジメント組織を立ち上げてイベント開催などにぎわいづくりなどを行うことを想定しているが、茨木市のまちづくりを妨害する組合員がいるという。
 また、2023年12月に「北大阪環状モノレール構想」が持ち上がったことも再開発を断念した背景だという証言もある。モノレールはJR茨木駅にも駅を設置するとしているが、茨木市はモノレール構想には否定的だ。都市計画の変更に際して「モノレールをねじこまれる」のを避けたという。

ねたみで挫折、JR・阪急の駅前再開発


 昨年末に茨木市がJR茨木駅西口の再開発を断念したことがわかった。すでに2022年7月には茨木市は阪急茨木市駅西口の再開発も断念し、永代ビルと茨木ビルの2棟から構成されるソシオ茨木は自主建替えに追い込まれた。阪急茨木市駅とJR茨木駅の両駅前の再開発が挫折した背景を関係者の証言をもとに探る。


 昨年11月に開催された「JR茨木駅西口駅前周辺地区まちづくり協議会」で茨木市は補助金という形の財政負担と容積率(600%)の緩和について否定的な立場を示した。
 市は配布資料で再開発補助金については新たな公共的な意義に対して交付するとした。JR茨木駅西口についてはすでに一定の公共的整備が済み周辺に公共施設等が立地するため、再開発に新たな公共的価値は見込めないとした。
 茨木市は中心市街地の活性化について「2コア1モール」を標榜してきた。JR茨木駅と阪急茨木市駅西口という2つのコアに交通結節点として人が集まりその周辺に商業が集積している。
 だが両駅間は徒歩で20分ほど離れていることで往来が少なく、中心市街地活性化の妨げになっているという見方があった。そこで2つのコアを結ぶ中央通りや東西通りに人流を作り出し、その沿道の商店街(モール)ににぎわいを作り2つのコアもさらに活性化するというものだ。
 2023年に2コアを結ぶモールの中間地点で開館した文化・子育て複合施設「おにクル」は、茨木市中心部に人を集めることに成功した。連日子育て世代や子どもが集まり、おにクルや周辺広場などでは土日を中心にイベントも開催されて市外からも集客できている可能性もある。
 おにクルの成功で駅前にわざわざ公共施設を整備する必要性が薄れたという立場だ。さらに自動運転の普及なども予想されることから駐車場など駅前ならでは交通機能の重要性も低くなっている。
 容積率の緩和については、すでにJR西口では茨木市の商業地区の標準的な水準である400%から600%に緩和しているとし、阪急西口が容積率を緩和することなく自主建替えを進めていると指摘した。さらに阪急西口の再開発構想に対して、都市計画審議会が駅前における都市機能と住機能のバランスについて指摘したこともあげた。都市計画審議会は駅前再開発で住宅を増やすことに消極的な立場だ。
 茨木市が打ち出したJR西口で新たな公共施設の必要性は低く、駅前では住宅の増加を抑制するという考え方は、従来の市の立場とは正反対だ。
 とくに駅前で住宅の増加を抑制するのは再開発の常識に反する。全国的に駅前の再開発では建物を高層化して保留床を確保する。下層階は商業施設・公共施設・オフィスやホテルなどだが、中上層階はタワマンとして分譲し、事業費を確保するのが一般的だ。住宅を増やして地権者以外にも販売しなければ再開発事業は成立しない。


 この急転換の予兆はあった。昨年4月に茨木市は都市整備部市街地新生課を都市整備部まちなか整備課へと組織改正した。
 しかし人員や事務分掌についてはほぼ従来通りだった。JR西口と阪急西口に分かれていた担当グループを拠点整備グループに一本化したのみだ。組織改正したのは市街地を新生することがなくなったから名称を変更するためだったとの見方が広がっている。
 ほかにも2024年11月の「まちづくり協議会」で茨木市は経済条件の悪化を強調していた。アフターコロナやウクライナ侵攻に端を発する物価高騰による建築費の上昇で再開発事業が採算割れする可能性を示唆していた。
 ただ一方でこの時期に茨木市は「JR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画」の策定を目指してJR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画協議会を開催していた。
 基本計画には策定後の事業の進め方も織り込んでおり、2024年末ごろまでは茨木市も再開発を断念していたようすはない。
 では急転換のきっかけは何だったのか。多くの関係者があげるのが建築費の急騰だ。2024年11月のまちづくり協議会で茨木市が強調していたが、2025年になって明らかに採算が取れないことが明らかになったという。つまり早期に計画がまとまっていれば再開発は進んでいた可能性がある。


 ある関係者によると計画が遅れたの原因は「ねたみ」だという。コロナ禍さなかの2020年6月、茨木市は阪急茨木市駅西口駅前周辺整備基本計画(案)を公表した。永代町の市営阪急茨木西口駐車場を廃止して跡地に40階を超える住宅棟を建設し、現在の永代ビル跡地に低層の商業棟を建設するというものだ。
 ところがこの案に対して高瀬川を挟んで住宅棟と対面することになる別院町の自治会有志などが反対した。市営駐車場に隣接する別院町にあるマンション管理組合や賃貸アパートのオーナーであるM氏らが主導した。
 さらに茨木ビル内に事務所がある労働組合「サポートユニオンwithYou」や左派市議会議員などもパチンコ店が入るビルの再開発に茨木市が駐車場用地を提供したうえに財政負担することを批判するなどした。
 2020年9月に開催された市民向けの説明会は反対派が集まり、茨木市職員の吊し上げの様相を呈した。わずかにいた一般の市民は質問で「前向きな計画だと期待したのになぜ反対ばかりなのか」と困惑した。11月には460筆の「超高層建築物建設反対署名」が提出された。
 説明会と署名提出を期に都市計画審議会や説明会に参加していた市議は、再開発や高層化に慎重な姿勢に転じた。とくに2021年1月に市議選を控えた市議会では再開発推進派は選挙に強い一部の維新市議を除いて鳴りを潜めた。
 市議選からまもない2021年2月には1434筆の反対署名が提出された。コロナ禍もありこの年は茨木市も具体的な動きをみせなかった。JR側では「JR茨木駅西口周辺WEBアンケート」を実施した。
 2022年2月には「超高層マンション建築に反対する別院町自治会有志の会」が茨木市長に「超高層建築物の無い阪急茨木市駅西口再開発を求める請願書」を、都市計画審議会に「阪急茨木市駅西口再開発について市民の「議論の場」の設置および市民への十分な広報の実施についての請願書」を提出した。
 2022年6月には茨木市は「これまでのご意見・議論を踏まえ、計画案の見直しと阪急茨木西口駐車場を再開発事業の検討区域から除外する」と発表し、「今後多くの方から共感と協力を得られるまちづくりに取り組」むとした。
 茨木市は阪急茨木駅前ソシオ管理組合に対して、永代ビルと茨木ビルの敷地を買取り70年の定期借地権つきマンションを建設する案を示したが、同組合は管理組合総会で自主建替えを決議した。
 JR茨木駅西口では「多くの方から共感と協力を得られるまちづくり」を進めるとして、アンケートに続いて2023年には市民を対象にJR茨木駅西口のまちづくりに関するワークショップを開催した。駅前にあるべき機能や過ごし方を討論するなどしてグループごとに模型で理想のまちづくり案を発表した。11月26日にはおにクルの開業にあわせてJR茨木駅西口のタクシープールをウォーカブルな広場化する社会実験を実施した。広場にはキッチンカーが出店したり、ゲームや読書をできるような空間を設けた。
 このころ茨木市はJR茨木駅西口のまちづくり協議会に対して2024年度は「JR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画」を策定し、その後にまちづくり協議会を発展的に解消して具体的な建替え検討組織を発足させる方針を示したという。
 阪急茨木市駅西口の計画案が近隣の反発を買ったことで茨木市はJR茨木駅西口の再開発は「多くの方から共感を得る」としてアンケートやワークショップを開催した。さらに都市計画審議会を説得するために駅前周辺整備基本計画を策定することで3年以上の時間を費やすことになった。しかし、基本計画を策定するために1年かけて協議会を重ねるうちに建築費の高騰が進むことになり、JR茨木駅西口の再開発も断念に追い込まれた。


 2025年10月下旬、茨木市は永代ビルと茨木ビルの自主建替えに関連して都市計画の説明会を実施した。多くの地権者が茨木市のこれまでの進め方を批判する中、別院町の賃貸アパートのオーナーであるM氏が発言した。
 「こちらも高い建物を建てたいと言ったが認められなかった。なぜ道路一本隔てただけで高層化できないのか」「私はそもそもタワマンは反対」
 再開発に対する反対運動の動機は「ねたみ」だった。

茨木市、JR西口再開発を断念


 茨木市がJR茨木駅西口の再開発を断念したことがわかった。昨年11月22日に開催された「JR茨木駅西口駅前周辺地区まちづくり協議会」で事務局を担当する茨木市都市整備部まちなか整備課が明らかにした。
 2014年ごろから茨木市は再開発を軸にJR茨木駅西口駅前周辺地区を再整備することを検討してきた。昨年4月に「JR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画」を策定したばかりだ。
 協議会で市は「再開発事業による事業成立は困難」として他の事業手法を検討する必要があるとしており、方針を転換した。そのうえで市が補助金という形で財政負担をすること、現行の容積率(600%)を緩和することについて否定的な見解を示した。高さ制限については「超高層建築物の立地に関する基本的な方針」に適合すれば阪急茨木市駅西口並みの緩和に含みを残した。
 基本計画は、現行の都市計画を変更することなくエスカレーター新設や歩道橋の改修など小規模な整備のみにとどめて進めることになりそうだ。

JR茨木駅西口再開発、再始動へ


 JR茨木駅西口の地権者らで構成する「JR茨木駅西口駅前周辺地区まちづくり協議会」が11月22日に開催されることがわかった。2024年11月以来ほぼ1年ぶりの開催で、茨木市が4月に「JR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画」を策定してから初となる。

 協議会では事務局を担当する茨木市都市整備部まちなか整備課が、今後の整備方針や進め方を提案するものとみられ、JR茨木駅西口に再開発が再始動することになる。


 基本計画の策定以降、阪急茨木市駅西口は自主建替に向けて都市計画審議会や地元むけ説明会が開かれるなどしていたが、JR茨木駅西口は目立った動きがなかった。地権者や関係者の間では動きがないことにいぶかしむ声もあった。

 茨木市は4月の定期異動で都市整備部長に岡田直司氏を据えた。岡田氏は市街地新生課や北部整備推進課など都市整備畑が長い。安威川ダム周辺整備やいばきた(茨木市北部地区)の活性化なども担当し、2023年に公園緑地課長に転じて「おにクル」の開業にあわせた周辺の公園や緑地の再整備を指揮してきた。茨木市の重点プロジェクトにかかわってきた岡田氏の起用は「茨木市もJRと阪急の駅前整備に本気で取り組むということ」(関係者)ととらえられえていた。

 また、市街地新生課がまちなか整備課に改組された。人員態勢や担務などに変更はないというが、これまでJRと阪急で別のチームが担当してきた駅前再整備が「拠点整備グループ」に一本化された。阪急茨木市駅西口の再整備方針が自主建替になったことが理由とみられる。いっぽうで市街地新生課発足から在籍していた中堅職員が3月に退職した。この職員は阪急側の再整備を担当するチームのリーダーだったため、人材不足も影響している可能性がある。

 こうしたことから、まちなか整備課も阪急茨木市駅西口で手いっぱいでJR茨木駅西口の再整備までは手が回っていないのではないかという見方もあった。ただ、都市計画審議会でもすでに2回にわたって検討され、地元むけ説明会もこなしたことから、JR茨木駅西口にも対応できるようになったとみられる。


 茨木市が策定した「JR茨木駅・阪急茨木市駅 西口駅前周辺整備基本計画」では、JR茨木駅西口では「多様な活動の場となる広場の整備」「魅力的な賑わい空間の創出」「新たな茨木の顔となる景観の形成」「公共交通の利便向上」「車両動線の検討」「立地特性を踏まえた都市機能導入の可能性」「西口と東口のつながり(駅東西の動線)」などの整備イメージを提示している。

 また、今後の進め方について①事業検討②事業実施③活用・マネジメントのフェーズを想定している。①の事業検討フェーズでは合意形成にむけて検討組織の設立、事業計画の検討・事業手法の検討、実施組織設立・事業計画作成などをおこなう。また、市民や駅利用者の共感を得るために、商店街等との連携などの取組みを検討し実施するという。②の事業実施フェーズでは詳細設計や各種工事を実施する。ここまでに交通やデザインなどの面で関係機関との協議や調整を行う。

 ③活用・マネジメントフェーズではエリアマネジメント組織を設立し、施設運営、オープンスペースの活用、エリアマネジメント活動を展開していく。
 
 茨木市は22日の協議会で事業検討の第一歩となる検討組織の設立について提案するものとみられる。既存のまちづくり協議会を活用する可能性もあるが、これまで茨木市主導で動いてきたため、地権者主導に切り替えるために新たな組織に模様替えする公算が大きい。

愛称で両駅前の再開発を加速


阪急茨木市駅西口とJR茨木駅西口で検討が進められている市街地再開発について、愛称をつける方向で検討されていることがわかった。

両駅前の再開発について市民の関心を高めることで、できるだけ多くの市民を巻き込んでスムーズに再開発を進めたい考えだ。

しかし、整備基本計画については決まっていないため、施設に対するものではなくプロジェクトの愛称になる見通し。

関係筋によると、今回の愛称は「あくまで仮のもの」として公募しない。予算がないことも公募しない理由だ。

また、この関係者は阪急茨木市駅については「マルクル」、JR茨木駅については「シン・クル」が有力だと語った。

阪急茨木市駅については、阪急電鉄のコーポレートカラーであるマルーンを意識したという。JR茨木駅については、JR西日本が茨木駅に新快速を停車させたくなるよう誘導するメンタリズム的効果を期待したという。


2020年6月に明らかになった阪急茨木市駅西口駅前周辺整備基本計画案は、周辺住民等の反発が強く、計画の変更に追い込まれた。

計画案へのパブリックコメントの募集がローカルメディアや都市開発系ブログなどで取り上げられ、一気に市民の周知が進んだ。

しかし、市民への事前の周知が少なかったため、多くの市民にとっては唐突感があり、市民から計画案への明確な支持が得らなかった。

その反省から、茨木市はJR茨木駅西口の再開発では市民対象のアンケートやワークショップを開催するなど、地権者や周辺住民だけではなく、多くの市民を巻き込んで検討を進めている。

愛称には、さらに多くの市民に周知してもらい、まちづくりの応援団になってもらう狙いがありそうだ。

2023年春も新快速の茨木停車見送り


JRグループ各社は、2023年3月18日に予定しているダイヤ改正の概要を発表した。

JR西日本は、京阪神地区で大阪駅の「うめきたエリア」開業、奈良線の複線化などを実施する。

JR京都線では、大阪駅の「うめきたエリア」開業により関空特急「はるか」などが新たに大阪駅に停車することになった。

また、新快速の有料席を拡大することも発表されたが、JR茨木駅の新快速停車は発表されなかった。

大阪駅の「うめきたエリア」開業は、おおさか東線が乗り入れるほか、京阪間を運転する特急が停車することになることから、京都線に大きくかかわるため、茨木駅の新快速停車など優等列車の停車駅の拡大も期待されていた。

新快速の茨木駅停車は見送り


JRグループ各社は、2022年3月12日に実施を予定しているダイヤ改正の概要を発表した。

JR西日本は、京阪神地区では「ご利用に合わせた列車の見直し」を行う。

コロナ禍で通勤需要が減っていることから、多くの線区で運転本数を減らす。大阪環状線などでは終電も繰り上げる。

一方でコロナ禍終息を見据えて、関西空港を発着する特急「はるか」の一部列車で運転を再開する。

利用者が激減する中でJR西日本は守りに徹しており、新たな動きは乏しい。

JR京都線では平日の通勤時間帯で運転本数が減る。高槻・京都間でも普通電車の間引きが行われるようだ。JR茨木駅の新快速停車は見送られた。

2023年度には梅田貨物駅跡地で開発が進むうめきた2期地区に、大阪駅の新ホームが開業する予定で、おおさか東線の乗り入れなども予想される。

それまでは新たな動きは期待できなさそうだ。

【独自】JR茨木駅西口再開発は大深度地下を使用へ


JR茨木駅西口周辺の再開発は、地下25階程度までの大深度地下を使用することがわかった。

阪急茨木市駅西口やJR茨木駅西口など駅前では高さ制限を特例で緩和できることになっているが、地上は15階程度に抑え、第八種高度地区(43m)程度の高さにする。

阪急茨木駅西口周辺再整備で近隣住民から高層化への反発が大きいことが背景だ。

平成13年に施行された大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の適用を目指す。「公共的使用」の名目として、三島府民センターなど大阪府や茨木市の公共施設を集約するほか、北陸新幹線の茨木駅を設置するようだ。


北陸新幹線は、敦賀駅(福井県敦賀市)から新大阪駅(大阪市淀川区)への延伸が計画されている。現時点では京都駅を経由する案が有力だ。

京都駅から新大阪駅へのルートは、学研都市線の松井山手駅を通る淀川左岸ルートが想定されているが、このルートでは新大阪駅に隣接する宮原操車場地下に設置するとみられる北陸新幹線ホームへ入る線形が複雑になる。

さらに伏見の酒造業界も酒造りに欠かせない伏流水への影響を懸念して京都駅から南下する左岸ルートに不安の声を上げる。

「中央リニアの川勝(平太)知事と、北陸新幹線の酒造組合は、令和の二大水騒動になる」と語る関係者もある。

そこで東海道線(JR京都線)の大深度地下を利用して京都駅から新大阪駅に延伸する淀川右岸ルート案が浮上した。

淀川左岸ルートでは、松井山手駅が第二京阪道路や新名神高速道路も通る交通の結節点であることから途中駅の候補に浮上したが、茨木駅も名神・近畿・中国の各高速道路などが近く淀川右岸ルートの途中駅として整備効果が大きい。

大阪府と茨木市は、茨木駅西口周辺の再整備で大深度地下を活用するため、北陸新幹線の茨木駅を誘致することで事業に公共性を持たせたい考えだ。

地上と地下で容積率を目いっぱい活用することで事業の採算性が向上し、駅前再開発に弾みがつきそうだ。

ダイヤ改正発表もJR茨木駅の新快速停車見送り


JR西日本は18日、2021年春のダイヤ改正について発表した。JR茨木駅への新快速停車は見送られた。また、JR京都線を含む京阪神地区では深夜0時台の運転本数も削減され、終電も繰り上げられる。

コロナ禍で利用客の減少にあえぐ中でのダイヤ改正だけに、収益向上や経費削減につながる内容が目立つ。


京阪神地区では、「はるか」「びわこエクスプレス」が新たに南草津・山科に停車したり、一部時間帯の「こうのとり」の停車駅を追加するなど有料席の稼働率を上げて収益向上をめざす。

さらに、終電繰り上げなど深夜帯ダイヤの見直しや、旅行需要の減少で乗車率の低迷する「はるか」や「サンダーバード」「くろしお」「こうのとり」「きのさき」などの運転本数を減らして経費削減をはかる。

16日に発表した月次利用状況でも、運輸取扱収入は落ち込みが続く。Go Toキャンペーンの効果もあり、10月、11月は前年比6割まで回復していたが、新型コロナウイルスの感染拡大やGo Toキャンペーンの利用手控えもあり12月前半は前年比5割ていどまで落ち込んでいる。

JR西日本もしばらくは守りの経営に徹するとみられ、新快速の停車駅追加などの新たな施策は打ち出しにくい状況が続きそうだ。

2021年からのJR茨木駅新快速停車は望み薄


JRグループ各社は12月18日に2021年3月のダイヤ改正を発表するとみられる。

ここ数年JR茨木駅への新快速停車が期待されてきたが、今回の発表では望みは薄そうだ。コロナ禍で利用者が激減した鉄道各社は厳しい経営を強いられており、新たな施策は期待しにくい。

JR西日本も例外ではなく、同社が9月に発表した2021年3月期の業績は、売上高が39%減の9,200億円(前期1兆5,082億円)と低迷する見込みだ。

さらに営業損失が2,900億円(前期営業利益1,606億円)、経常損失3,050億円(前期経常利益1,483億円)、純損失2,400億円(前期純利益893億円)と大幅な赤字を予想している。

昨年から終電の繰上げを検討するなど、コスト削減を進めてきたJR西日本は、さらなる守りの経営に徹することになりそうだ。

新快速停車駅の追加など新たな投資を要する施策は考えにくく、2021年ダイヤ改正は終電繰上げが核になりそうだ。

大阪駅から京都方面に向かう24時台の京都線は5本だったが、2本に削減される見込みだ。

JR西日本によると、大阪方面から茨木駅に到着する終電は、現在は大阪駅24時31分発の高槻行だが、大阪駅発24時10分発と20分以上繰り上げられる。

逆方向の京都方面からは、24時以降に到着する電車はなくなりそうだ。


茨木駅への新快速停車については、2014年8月に産経新聞が2-3年後をめどに検討を始めたと報じた。しかし茨木市や茨木商工会議所はこれを否定している。

少なくともこの段階では、新快速停車は検討されていなかったとみられ、2015年には商工会議所が会員に新快速停車を求める署名運動を展開している。

2015年に立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)、エキスポシティ(EXPOCITY)が、翌年には吹田スタジアムがオープンしたが、茨木駅の乗降客数は事前の予測ほど増えていない。

エキスポシティや吹田スタジアムへのバス便も減便が続き、現在は土日のみの運行となっている。吹田スタジアムの観客は便の少ないバスを避けて、徒歩で最寄の千里丘駅を利用しているようだ。

それでも茨木駅周辺では新快速停車の期待は続いてきた。2018年にはJR総持寺駅が開業し、茨木駅に商業施設が開業したことで、新快速停車の期待が盛り上がった。

その期待も外れたことで、茨木市や商工会議所も積極的に動き始めた。4月1日に行われたJR茨木駅の商業施設開業式典では、茨木市の福岡洋一市長があいさつでJR茨木駅西口の再開発と新快速停車の実現に強い意欲を示した。

JR西日本の首脳が同席していることを念頭にした発言としては異例の踏み込んだ内容で、列席した関係者は一様に驚きを隠さなかった。

また商工会議所も「JR茨木駅に新快速をとめる運動」を展開する。委員会を開催してJR西日本への働きかけを進めている。

2020年の茨木市長選では、福岡市長と寺元氏のいずれの候補もJR西日本に新快速停車を働きかける考えを示しており、今後も市を挙げての運動が続きそうだ。

しかし、コロナ禍の影響でJR西日本も、新たな施策を打ち出す環境ではない。ワクチン接種が始まるなどコロナを克服したとしても、経済の急回復は期待できず、JR西日本も厳しい綱渡りを強いられる。

次に動きがあるとすれば、2023年の東海道本線貨物支線(梅田貨物線)の地下化とうめきた2期地区に大阪駅新ホームが開業するタイミングになりそうだ。