衆院選きょう投開票


 衆議院選挙は、10月31日投開票が行われる。茨木市を含む大阪9区では、自民党の現職で元防衛副大臣の原田憲治(73)、社民党の新人で党副党首の大椿裕子(48)、日本維新の会の現職で党幹事長代理の足立康史(56)、無所属の新人で医師の磯部和哉(49)の四氏が立候補している。

 マスコミ各社の分析では、足立氏と原田氏が抜け出しているようだ。大椿氏は、野党統一候補とはいえ浸透しきれず、組織力の乏しい磯部氏はポスターすら貼りきれていない。上位2候補では、足立氏が先行し原田氏が追い上げる戦いとなっているようだ。党の「73歳定年制」で比例代表に重複立候補できず、小選挙区で敗れれば復活がない原田陣営の危機感は強い。

 西銘恒三郎復興担当大臣、小渕優子自民党組織運動本部長、石破茂元自民党幹事長、古川禎久法務大臣、佐藤正久参議院議員、鈴木貴子外務副大臣、片山さつき元地方創生担当大臣、三原じゅん子前厚生労働副大臣、小野寺五典元防衛大臣、高市早苗政調会長、加藤勝信前内閣官房長官など有力者が応援演説に駆けつけて支持の掘り起こしに懸命だ。推薦する公明党も石川博崇参議院議員などを投入している。
原田憲治候補の応援演説を行う石破茂元自民党幹事長

 いっぽうで足立陣営への大物の応援は、公示前の9日に日本維新の会の副代表で吉村洋文大阪府知事が茨木駅西口で応援演説を行っただけ。代表の松井一郎大阪市長や吉村氏が、大阪7区(吹田市・摂津市)の奥下剛光氏や、10区(高槻市・三島郡島本町)の池下卓氏の応援に頻繁に足を運ぶのとは対照的だ。

 自民党の大阪府連会長である原田氏と戦う9区は、維新には落とせない選挙区だ。比例代表重複があるとはいえ他の選挙区を優先するのは、維新の情勢分析でも足立氏が先行しているということだ。

 足立氏は、ツイッターで「維新優勢報道が続いていますが、4年前も優勢報道の末に2千票の僅差で負けました。大阪9区の自民候補は大阪の大将。本気の公明党、野党系地方議員などの組織票が積み上がり、完全に互角の激戦。」と陣営を引き締める。


 選挙の結果次第では、大阪9区から自民党の衆院議員が不在になる。そうなれば下部組織も弱体化する可能性がある。地元選出の代議士が不在となれば、自民党の茨木市支部は府議選、市長選、市議選と2023年から3年間連続する地方選挙で厳しい戦いを強いられそうだ。

 前回の衆院選では等距離外交に徹した福岡洋一市長も、昨年の市長選で維新が対立候補を擁立したことで、今回は原田氏の応援に回った。自民党茨木市支部が弱体化すれば次回の市長選挙では、苦しい立場に追い込まれる可能性もある。

 茨木市の市政の勢力図が塗り替われば、JR茨木駅西口や阪急茨木駅西口の再開発も大きな影響をうけそうだ。維新・公明・自民が拮抗する三どもえ状態が解消すれば、大きく前進する可能性もある。


 維新に近い菅義偉前首相が退陣し、岸田文雄政権が発足したことで、維新は自民党との対決姿勢を鮮明にしている。党勢拡大のためのポーズの可能性もあるが、全面対決になって府政や茨木市政が維新一色となれば、中央との距離が開くこともありえる。

 大阪・関西万博やIR以降の、関西の国際金融都市化や駅前再開発などの大小の投資案件に、政府からの支援を受けにくくなる可能性もある。


 今回の衆院選が、JR茨木駅西口や阪急茨木駅西口の再開発にとって大きな転機となりそうだ。

足立氏、茨木の自公切り崩しへ


 19日に公示された衆院選は、投開票まで残り1週間になった。茨木市を含む大阪9区には、自民党の現職で元防衛副大臣の原田憲治(73)、社民党の新人で党副党首の大椿裕子(48)、日本維新の会の現職で党幹事長代理の足立康史(56)、無所属の新人で医師の磯部和哉(49)の四氏が立候補した。
隣り合う原田憲治衆院議員選挙事務所・足立康史衆院議員選挙事務所写真=ほぼ隣接する原田憲治候補と足立康史候補の選挙事務所
 選挙の結果次第では、大阪9区では自民党の衆院議員が不在となる。市長が比較的自民党と近く、市議会でも維新に比肩する勢力を占め、府議会にも議席を持つ茨木市の自民党勢力が数年以内に切り崩されることもありそうだ。


 マスコミ各社の序盤情勢分析によれば、原田、足立両氏が他候補を引き離し接戦を演じているという。特に維新の足立氏は、コロナ禍対応で評判を上げた吉村文洋大阪府知事の人気もあり、有利に戦いを進めているとみられる。
吉村洋文府知事を前面に出す足立康史衆院議員のポスター写真=吉村洋文府知事を前面に出す足立康史衆院議員のポスター
 いっぽう原田氏は、自民党の「73歳定年制」により比例代表に重複立候補できず、小選挙区で敗れれば復活はない。足立氏の地盤でもある茨木を中心に選挙区をくまなく回るローラー作戦を展開し、背水の陣の構えだ。


 前回の衆院選でも足立氏は原田氏に約2000票差まで詰め寄っていたが、昨年以来、箕面と池田では市長選を維新が制しており、足元で勢いが増している。特に池田市長選挙は、市長室へのサウナ持ち込みなどで維新の富田裕樹前市長が辞職したことによる出直し選挙で、富田氏の元秘書で前市議の滝沢智子氏が当選しており、維新への追い風が吹いている。
 維新の松井代表や足立氏とSNSなどで中傷合戦を繰り広げ裁判沙汰になった大阪9区の府議団も、昨年11月に実施された大阪都構想の住民投票でも自民党の原田亮(箕面市)・占部走馬(茨木市)の両氏が都構想賛成に回るなど、原田氏を支える組織にきしみがみられる。
 国政では自民と連立を組む公明も、2019年の府議選で維新が圧勝したことで、大阪都構想の2回目の住民投票では都構想に賛成しており、前回の総選挙よりも自民党府連との距離は開いている。
 また、岸田文雄政権では公明と近いとされる二階俊博前幹事長が失脚しており、反公明と目される甘利明氏が幹事長に就任していることから、支持母体の票をまとめ切れるか不透明だ。
 このまま足立氏が逃げ切って小選挙区で当選すれば、自民党は大阪9区を地盤とする衆院議員が不在となる。


 大阪9区の自民党衆院議員が不在になれば、下部組織も弱体化する可能性がある。地元選出の代議士が不在となれば、自民党の茨木市支部は府議選、市長選、市議選と2023年から3年間連続する地方選挙で厳しい戦いを強いられそうだ。


 2021年3月に足立氏は選挙区内に掲示したポスターで、2023年に予定される次の府議選で茨木市選挙区には二人の候補を擁立すると明言した。現職の松本利明府議とは別に候補を公募するという。
 茨木市選挙区は定数3を、維新の松本氏、自民の占部氏と公明の中野剛氏が議席を分け合っており、維新が2議席を占めれば、手堅く票をまとめる公明よりも自民が議席を失う可能性がある。中傷合戦で裁判相手となった占部走馬府議に対する揺さぶりであると同時に、都構想には賛成しただけに秋波を送っている可能性もある。


 原田氏の選挙事務所は、占部府議の事務所を使うなど強固な関係をアピールするが、原田氏が「ただの人」になれば、占部氏が切り崩されることもありえる。
 自民党の茨木市支部のスポンサーである占部氏が自民から離脱することがあれば、茨木市の政治勢力図はオセロゲームのように、一気にひっくり返ることになる。そうなれば福岡洋一市政で野党色を強めていた維新が福岡氏を取り込んで公認するか、独自候補を擁立することで、与党に返り咲くこともありえる。


 茨木市議会では維新、公明、自民の勢力が拮抗しており、福岡市長も各党も大胆な政策を打ち出しづらい状況だ。
 もし茨木市の自民勢力が維新に同調したり、取り込まれることがあれば、成長志向が強く、開発に積極的な勢力が結集しすることになる。そうすれば、公明党や共産党など分配への志向が強く、開発に消極的な勢力を抑えて、JR茨木駅西口や阪急茨木市駅西口の再開発が大きく進展する可能性もありそうだ。