2018年JR茨木駅西口街づくり10大ニュース


2018年、市制施行70周年の茨木市は度重なる災害に襲われた。防災・減災の取り組みが課題になりそうだ。

その他にもJR総持寺駅やJR茨木駅の商業施設開業など、JR茨木駅駅勢圏にも影響を及ぼすできごとがあった。

10年後の市制施行80周年には、2018年が大きな転機として記憶される年になるかもしれない。2018年のJR茨木駅西口街づくり10大ニュースをまとめた。

大阪北部地震で市内全域に被害

6月18日午前8時前、大阪府北部を震源とするM6.1の地震が発生し、茨木市でも震度6弱の揺れを記録した。

茨木市内全域で建物の瓦屋根や外壁に被害が出た。家具の転倒も相次ぎ、茨木市内でも1人が亡くなった。ガスが数日間供給停止されたほかは、インフラへの影響は早期に収束した。

JRや阪急が長時間停止したことで、駅周辺の滞留者の避難誘導が課題として浮上した。また、耐震基準を満たさない建物の被害が目立ち、再開発を含めた更新が急がれる。

今回の教訓を、南海トラフなどさらに大きな地震への備えに活用できるか注目されている。特に発災直後の初動期は、市役所もリソースが十分でないことが明らかになった。

さらに大きな地震ではさらにリソースが不足するだろう。ある市職員は「南海トラフ地震なら、市役所も身動きが取れなくなるかもしれない」と漏らす。防災食の備蓄や防災グッズの準備など防災・減災に市民の自助努力も求められる。

台風21号の被害広がる

9月4日、大型で非常に強い勢力で近畿地方を台風が縦断。茨木市内でも建物や樹木、信号機などに強風による被害があった。

阪急茨木市駅西口の「ソシオいばらき」では、歯科医院の外壁ガラスが大きく破損した。

地震で被害の出た瓦屋根にさらなるダメージが加わったうえ、地震には強い軽量瓦やスレート瓦、鋼板などの屋根材にも被害が拡大し、地震の復旧をさらに遅らせている。

今後「スーパー台風」の増加も予想されており、災害に強いまちづくりも焦点になりそうだ。

JR茨木駅商業施設が開業

4月1日、JR茨木駅に商業施設が開業した。コンビニ、ドラッグストアや飲食などの店舗がそろう。昼間は飲食店に行列ができるなど、商況は好調だ。

他方で茨木駅前ビル地下の居酒屋が長期間休業するなど、飲食店の競争が激化しているようだ。

また、福岡洋一茨木市長は4月1日の開業記念式典のあいさつで、JR西日本に対して新快速停車の実現と西口の再開発に協力を求めた。

茨木松ケ本線アンダーパス開通

3月25日、都市計画道路茨木松ケ本線のJR京都線アンダーパスが開通した。

週末を中心に常態化する府道大阪高槻京都線(産業道路)や府道中央環状線、府道枚方茨木線(中央通り)などの渋滞解消が期待された。

新庄町交差点、別院町南交差点や舟木町交差点で渋滞が増加しており、JR茨木駅前や阪急茨木市駅付近の渋滞が緩和されている可能性がある。

しかし12月の週末を見る限り産業道路の渋滞は緩和されておらず、茨木市市内を通行する車両数が道路の容量を超えているようだ。

松下町のパナソニック工場跡地にヤマト運輸関西ゲートウェイやアマゾン茨木フルフィルメントセンターが開業したことで、さらに渋滞区間が広がっている。

JR総持寺駅が開業

3月18日、JR総持寺駅が開業した。1日あたりの乗降客は当初予想で2万人弱だが、JR茨木駅利用者が流出することになりそうだ。

近鉄バスは「花園東和苑」系統をJR総持寺駅経由で運行し、JR茨木駅への乗り入れを取りやめた。

松下町の物流施設も総持寺駅が最寄りになるほか、追手門学院が4月にJR総持寺駅徒歩圏の東芝大阪工場跡地に付属中・高と一部学部を移転する。

JR茨木駅の乗降客数が減少すれば、新快速停車はさらに遠のきそうだ。

まちづくり協議会が本格始動

昨夏に発足したJR茨木駅西口周辺地区まちづくり協議会が、4月以降本格始動したようだ。3月までは地権者向けに再開発の制度や手法についての勉強会が行われたという。

大手のデベロッパーやゼネコンから事業協力者を募り、計画のたたき台を作成してもらう試みが始まっているようだ。

茨木市や茨木駅前ビル管理組合の情報統制が厳しく、詳しい情報が入手できない状況だ。再開発の対象となる地区のうち、北東地区を先行開発するという情報も一部では流れている。

市民会館跡地整備でJR・阪急をつなぐ試み

茨木市は市民会館の跡地整備のプランを検証するため、市民会館前の広場に「IBALAB(イバラボ)」という芝生広場を設置した。

10月から12月中旬までイベント、マルシェやワークショップなどの社会実験を実施した。

茨木市は、中央公園南グランドを含めて再整備する方針だ。市民会館や中央公園の再整備で人が集まるエリアに育てあげ、商圏として分断されているJR茨木駅前と阪急茨木市駅前を一体化したい考えだ。

さらには高橋交差点から南北に延びる川端通り・さくら通りの遊歩道もイベントなどのにぎわいづくりで人が集まることを模索している。

ハードの整備よりもにぎわいづくりなどソフトの整備を進めるためのノウハウを社会実験で蓄積したとみられる。

JR茨木駅エリアの商業物件の需要低調

JR茨木駅周辺の商業物件の需要が低調だ。西口で6月に竣工したユーズビルで2階事務所に入居者が見つからない。

茨木駅前ビルでも不動産仲介業者や買取専門店、歯科医院が退去した。りそな銀行茨木西支店の入る田畑ビル3階事務所もテナントがみつからないままだ。

東口でもサンプラザ茨木駅前ビルでビデオレンタルの「TSUTAYA」が閉店するなどテナントの流出が続く。東西通りに面した「三府鮨」「八剣伝」などもマンション開発のために閉店した。

JR茨木駅エリアの商業はイオン一強になりつつある。

万博アクセスの地位失いつつある茨木駅

JR茨木駅とエキスポシティを結ぶバス路線で、3月から平日の運行が打ち切られた。昨年11月に近鉄バスが平日の運行から撤退していたが、阪急バスも追随した形だ。

エキスポシティや万博記念公園のアクセスとして、輸送能力、定時性ともに優るモノレールが支持されている。

吹田スタジアムへのアクセスもバス便がパンクすることが嫌気され、徒歩で千里丘駅を利用するサポーターが多いという。

JR茨木駅の乗降客数がさらに低迷することになりそうだ。

茨木駅前ビルのカラオケ店裁判が結審へ

カラオケ店「オルセーカラオケ」の看板設置を巡り、茨木駅前ビル管理組合が区分所有者「SKハウジング」と運営会社「SKフェニックス」を提訴した裁判が結審したようだ。

来年1月に判決が出るという情報がある。

発生から半年の大阪北部地震、茨木市の経済に爪痕


18日午前中、茨木市上空を数機のヘリコプターが飛び交った。報道各社がチャーターしたものだ。

大阪北部地震発生から半年。発生当時に懸念された大きな余震はなかったが、地震はいまなお茨木市の経済に大きな爪痕を残している。

修理に着手できて工事が完了した建物がある一方で、被害が大きいにもかかわらず解体も修理もできない建物が残る。外壁が広範囲で崩れたり瓦が大きく落ちた建物が放置されている。

その多くはテラスハウス(連棟住宅)や賃貸アパートだ。大家は取り壊したいものの、借主が立ち退きできないとみられる。

茨木市は家を失った借主には公営住宅のあっせんも行っているが、借主が高齢で次の住まいを見つけられなかったり、大家が補償金を捻出できないケースもあるようだ。

また屋根屋(屋根の修繕業者)が不足しており、屋根にブルーシートをかけたままの民家も多い。9月の台風21号で被害が拡大し、不足に拍車がかかった。多くの屋根屋は来年春ごろまでは「手いっぱい」(修繕業者)の状況だ。

修理を断念して老朽化した建物を取り壊す動きが目立つ。解体や建替えを機に営業継続を断念して廃業する店舗や事業所も相次ぐ。多くはハウスメーカーのアパートや駐車場に姿を変えそうだ。

更地で売り出される物件もあり、長期的に茨木市の地価や賃料の下落を招く懸念も残る。


大阪北部地震で外壁が大きく崩落した阪急茨木市駅東口の舟木ビルや、一部の瓦が崩落したJR茨木駅東側のジャンボカラオケ(ジャンカラ)JR茨木店は早々に修繕を終えた。また多くのマンションなどでもすでに修繕を終えている。

その一方でまだ着工できていない建物も残る。JR茨木駅西口の茨木駅前ビルでは、外壁のタイルが剝がれたままだ。さらに崩落の危険性があるため、同ビルにつながる歩道橋も一部が通行止めになっている。

阪急茨木市駅北側の竹橋町でも中華料理の「雁飯店」などはいち早く修理に入ったが、付近では外壁が剥落したままの飲食店がみられる。

阪急茨木市駅東側の東西通りに沿った地域では、外壁や屋根瓦が大きく崩れたアパートやテラスハウスが残る。

稲葉町では応急危険度判定で「危険」とされたテラスハウスやアパートに住民が住み続けている。安威川に沿った庄、橋の内、末広町などでもこうした建物が残っている。

また市内の全域で屋根にブルーシートがかかった民家も残る。台風の被害もあるとみられ、阪急茨木市駅付近だけではなく、JR茨木駅西側の穂積地区や春日地区でも屋根の被害は広がる。

とくに台風による被害は、9月時点ですでに屋根屋が不足しており、修理は6月ごろまでかかると見られる。

いっぽういち早く解体に着手する物件もある。エキスポロード沿いの西駅前町、大手町、別院町、新庄町などの古民家はすでに解体された。

大手町の旧茨木川沿いの元たばこ店や、別院町の「まつむら印刷」は戦前の建築とみられる。大手町の元料理教室も洋風の意匠を取り入れた伝統的な木造建築で、貴重な建築遺産が失われた。

西駅前町の「茨木グランドハイツ」西隣の古民家もまもなく解体され、ハウスメーカーの集合住宅に建て替えられる。

古い建物が解体されることで、廃業に追い込まれる店舗も増えている。経営者の高齢化も理由だが、建物の安全性が確保できないことが大きな理由だ。

別院町では老舗うなぎ店、大池では中華料理店やバレエ教室が廃業した。阪急茨木市駅東側の双葉町でもバーなど飲食店が営業していた雑居ビルが解体され、更地で売り出されている。

バレエ教室の跡はハウスメーカーの賃貸アパートが建設されるとみられる。周辺でも解体されたアパートが駐車場に姿を変えた。元町の銀座中央商店街やJR茨木駅北側の春日商店街では、空き店舗が解体され、戸建て住宅が建設されている。

店舗や事業所が減り、今後売り物件やアパート・駐車場の供給が増えることで、長期的には税収、地価や賃料の押し下げ圧力になる可能性もあり、茨木市の景気や財政に暗い影を落としそうだ。

【速報】2019年春ダイヤ改正で茨木駅新快速停車・岸辺駅快速停車は見送りに


JR西日本は、14日14時50分ごろ2019年3月16日に実施するダイヤ改正の概要を発表した。茨木駅の新快速停車・岸辺駅の快速停車は見送りになった。

《 近畿エリア 》
 ○ おおさか東線の全線開業
 ○ JR神戸線・JR京都線・琵琶湖線の座席サービスを充実
 ・有料座席サービス 新快速「Aシート」を開始
 ・JR神戸線の通勤時間帯に特急「らくラクはりま」を新設
 ○ 嵯峨野線に新駅を開業(梅小路京都西)

JR西日本の2019年春ダイヤ改正はきょう発表へ


JR西日本の来春のダイヤ改正の発表はきょう行われるようだ。すでにJR東日本やJR東海は概要を発表している。

おおさか東線の北区間の開業やJR京都線や神戸線の有料シート導入が正式に発表されるとみられるが、茨木駅の新快速停車、岸辺駅の快速停車も注目される。

2019年春ダイヤで岸辺快速・茨木新快速停車は?


JRグループ各社は今月中に2019年春のダイヤ改正を発表する。春のダイヤ改正は前年の12月第3金曜に発表するのが通例で、今年は21日になりそうだ。

春のダイヤ改正では岸辺駅の快速停車と茨木駅の新快速停車への期待が高まる。

以前から地元金融機関からの情報として、北大阪健康医療都市(健都)のまちびらきに合わせて岸辺駅に快速が停車するという噂がある。さらにそれと同時に茨木駅には新快速が停車するという情報も流れている。

しかし両駅の状況は明暗が分かれる。特に茨木駅では新快速の停車は厳しそうだ。


岸辺駅では吹田操車場跡地のまちづくり(健都)が完成を迎えつつある。11月には「ビエラ岸辺健都」が開業し、12月には吹田市民病院が移転・開業した。

大型マンションの開発も進み、来年夏には国立循環器病研究センターも移転してくる。乗降客数も大幅に増える見込みだ。

茨木駅では4月に商業施設がオープンした。飲食店ではピーク時には席が取れないこともあり、駅ナカは繁盛している。しかし駅周辺の状況は厳しさを増している。

西口でも茨木駅前ビルのテナント流出が止まらない。掛谷不動産と買取専門店が相次いで閉店し、地下の居酒屋も閉店したとみられる。ミュージックバーの「茨木グリル」も騒音問題を理由に改装し、11月に再開したが客足は増えていない。

東口ではパチンコ店が閉店し、マンションに建て替えられることになった。地震の影響で集合住宅への建て替えも進んでおり、多少人口は増える可能性もあるが大きく乗降客が増えることはなさそうだ。

さらにJR総持寺駅の開業で、一部乗降客の流出は避けられない。定期券の切り替え時期となる年度末に一気に移行する可能性もある。

2019年には、追手門学院も安威のキャンパスから中学や高校と一部の学部を東芝大阪工場跡地の新キャンパスに移転する計画だ。

新キャンパスはJR総持寺駅から徒歩で約10分の距離で、現在学バスが発着している茨木駅からJR総持寺駅に移行するのは確実だ。


茨木駅への新快速停車については、2014年8月に産経新聞が2-3年後をめどに検討を始めたと報じた。しかし茨木市や茨木商工会議所はこれを否定している。

少なくともこの段階では、新快速停車は検討されていなかったとみられ、2015年には商工会議所が会員に新快速停車を求める署名運動を展開している。

2015年に立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)、エキスポシティ(EXPOCITY)が、翌年には吹田スタジアムがオープンしたが、茨木駅の乗降客数は事前の予測ほど増えていない。

エキスポシティや吹田スタジアムへのバス便も減便が続き、現在は土日のみの運行となっている。吹田スタジアムの観客は便の少ないバスを避けて、徒歩で最寄の千里丘駅を利用しているようだ。

それでも茨木駅周辺では新快速停車の期待は続いてきた。2018年にはJR総持寺駅が開業し、茨木駅に商業施設が開業したことで、新快速停車の期待が盛り上がった。

その期待も外れたことで、茨木市や商工会議所も積極的に動き始めた。4月1日に行われたJR茨木駅の商業施設開業式典では、茨木市の福岡洋一市長があいさつでJR茨木駅西口の再開発と新快速停車の実現に強い意欲を示した。

JR西日本の首脳が同席していることを念頭にした発言としては異例の踏み込んだ内容で、列席した関係者は一様に驚きを隠さなかった。

また商工会議所も「JR茨木駅に新快速をとめる運動」を展開する。委員会を開催してJR西日本への働きかけを進めている。

しかし、市や商工会議所の関係筋によると来春の茨木駅の新快速停車は厳しそうだ。仮に岸辺駅の快速停車だけが実現すれば、大阪駅から2駅、新大阪の次という快速停車駅としての茨木駅の地位は落ちることになりそうだ。