9月15日、建替えなど再開発の動きが進むソシオ茨木(永代ビル・茨木ビル)で音楽イベント「Ibaraki Jazz & Classic Festival 2018」が開催された。
イベントは阪急茨木市駅周辺のソシオ茨木、ロサヴィアいばらき、茨木別院の3箇所を会場に開かれた。
茨木市内でコンサートを開いているミュージシャンや、ソシオ茨木の管理会社や管理組合、同ビルの建替推進委員会が実行委員会を立ち上げた。
実行委員会ではすでに来年10月の開催を決めており、再来年以降の開催も視野に入れている。
茨木市の補助金を活用しており、ソシオ茨木などで計画されている市街地再開発を契機とした中心市街地の賑わい創出の手法を探るとみられる。
さらに再開発で導入すべき公共施設としてオープンデッキが検討されていることから、そのニーズや効果を検証する狙いもありそうだ。
ソシオ茨木では、茨木ビル2階のピロティを会場としてジャズのライブを行った。同ビル地下にあるビアバー「レーズン堂」や水尾や西中条のパン店「MON AMI」、大池や西中条のコーヒー専門店「たたらば珈琲」、春日の燻製専門店「中(Atalu)」なども出店し、飲食スペースも設けた。
ロサヴィアでは、1階のイベントスペースでコンサートや、ポリネシアンダンスの実演が行われ、茨木別院ではクラシック音楽のコンサートが開かれた。
イベントはロサヴィアや大池公民館、いばらきスカイパレットなど茨木市内でコンサートを行ってきたジャズ・ミュージシャンや、ソシオ茨木の管理会社や管理組合、同ビルの建替推進委員会が協力して開催した。
IBARAKI JAZZ & CLASSIC FESTIVAL 2018実行委員会(加藤眞一委員長)が主催だが、ソシオ茨木の管理会社「阪急茨木市駅前市街地改造ビル管理株式会社」や、建替えに向けて設立された同ビルの管理組合「阪急ソシオ管理組合」も協力した。
さらに実行委員会の問い合せ窓口は「ソシオ茨木建替推進委員会エリアマネージメント部会」が担当するなど、同ビルの建て替えを推進する「ソシオ茨木建替推進委員会」も協力した。
実行委員会は「予想していたよりずずずっと沢山のお客さんにお越しいただき」「とてもとても盛り上がりました」と手応えを感じている。
すでに来年の開催スケジュールも10月6日と発表されており、実行委では再開発の後まで長期的に開催したい考えだ。
さらに阪急茨木市駅7商店会連合会も後援しており、傘下の商店街の空き店舗も楽器づくりのワークショップなどの会場として活用してイベントを面的に広げることを目指している。
阪急茨木市駅7商店会連合会には、茨木阪急本通商店街振興組合、茨木心斎橋商店会、ロサヴィア商店会、茨木阪急東中央商店会、茨木中央銀座商店会、茨木市本町商店会、茨木市駅東口商店会が加わっており、実現すれば衰退が著しい中心市街地の活性化につながりそうだ。
運営費用は民間企業などの協賛で捻出したほか、茨木市の「茨木市地域魅力アップイベント創出育成事業補助金」を活用した。
茨木市と茨木商工会議所も、JR茨木駅東口の「いばらきスカイパレット」のイベント用に購入したテーブルや椅子、茨木にぎわい亭の備品を貸与したほか、広報なども全面支援した。
ソシオ茨木を構成する永代ビルと茨木ビルや阪急茨木西口駐車場で計画されている阪急茨木市駅西地区市街地再開発事業をきっかけに、中心市街地の賑わい創出などエリアマネージメントの社会実験とする狙いもあるようだ。
エリアマネジメントとは、従来の行政主導のハコモノ整備だけでは市街地の賑わいづくりができないという反省から、民間主導で主にソフト面でまちづくりや地域マネジメントを行う取り組みだ。賑わい創出のみならず、来街者や定住者の増加につなげることも目論む。
茨木市の福岡洋一市長が掲げる「関係人口」を増やす政策とも連動している。観光などの「交流」から街に深く関わる「関係」へ深化させて若年層の定住を増やし、茨木市の人口を維持することで自治体間競争で生き残りを目指すものだ。
また市街地再開発では、国などからの補助の前提として公的施設の導入も求められる。高齢化や人口減少で自動車の需要が減ると予想される中、駐車場ではない公的施設の導入を模索している。
現状はオープンデッキを設置する案が有力だが、「社会実験」を通じてどのような施設に市民のニーズがあるか探っていくとみられる。