茨木駅前ビルで再開発建替え派が過半数


茨木駅前ビル再整備検討委員会が実施したアンケートで、同ビルの区分所有者の過半数が再開発建替えを支持していることが分かった。同委員会は茨木駅前ビル管理組合の諮問機関で、組合員の有志が2年間にわたってビル再整備手法について検討し、全区分所有者に周知してきた。

アンケートの未提出者は11月下旬の集計時点で約4割。再開発建替え支持派はまだ増えそうだ。JR茨木駅西口駅前周辺再整備ではその動向が計画に大きく影響する茨木駅前ビルが市街地再開発でまとまるメドがついたことで、JR茨木駅西口の再開発は大きく前進しそうだ。

ただ実際に茨木駅前ビルの区分所有者が機関決定するのは、12月末に行われるとみられる管理組合の臨時総会だ。総会で「市街地再開発推進決議」を可決する必要があるが、出席者や議決権行使書が集まらなかったりすれば否決される恐れもある。

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茨木駅前ビルでは都市開発コンサルタントのアール・アイ・エーの助言をうけながら、耐震改修を含む大規模改修、自主建替え、市街地再開発による建替えの3案を軸に検討してきた。

耐震改修は全区分所有者が費用を拠出する必要があるうえに、コンクリートの寿命などを考慮すると、約15年しかビルの「寿命」を延命できないないことで全体の5%ていどしか支持されなかった。

また自主建替えは負担費用を捻出できない区分所有者が建替組合に売却できるものの、経済条件が市街地再開発による建替えよりも悪いことから、ごくわずかの支持にとどまった。

すでに再整備検討員会は管理組合に市街地再開発推進決議案を上程したとみられ、12月末にも開かれる管理組合臨時総会で議決される見通しだ。

自主建替えであれば、推進決議には組合員数(全区分所有者)と議決権数の3分の2か4分の3が必要とされる。建替え決議であれば区分所有法で5分の4が賛成する必要があるとされているが、推進決議には同法の規定がない。しかし決議で5分の4をクリアするためには、推進決議の時点で4分の3の支持を集めないと現実的に決議の可決は困難になるからだ。

いっぽう市街地再開発推進決議は、通常決議と同様に2分の1(過半数)でよいとされている。さらに再開発の実施にむけては機関決定が必要でなく、再開発地区の権利者の3分の2の同意でよいとされる。そのため推進決議後のハードルはかなり下がりそうだ。

ただし、重要な議案であることから総会では投票の実数が把握できる手法での議決を行うことになりそうだ。さらに欠席者には委任状ではなく議決権行使書でできるだけ意思表示を求めるものとみられる。

茨木市の市街地新生課は茨木駅前ビルの市街地再開発推進決議の可決を前提に、企画財政部と予算折衝に入っている。今後は都市開発コンサルタントの助言を受けながら市街地再開発協議会の立ち上げなどを支援していくほか、JR西日本とも駅ビル建設も含めてJR用地の利用方法を調整することになる。

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ようやく動き出したJR茨木駅西口駅前再整備だが不安要素もある。来年1月22日投開票の茨木市議会議員選挙だ。木本保平前市長をめぐる疑惑などで市議会最大会派・大阪維新の会派には大きな逆風が吹きそうだ。

上田光夫市議はじめ追及姿勢を強める自民党と、朝田充市議などが疑惑解明をリードした共産党に有利な状況だが、共産党など再開発に批判的な勢力が伸長する恐れがある。

福岡洋一市長も開発路線を継続しているとみられるが、木本氏や維新会派が再開発に積極であったこともあり、市議会のパワーバランスが崩壊すればJR茨木駅西口再開発などの市内の開発案件に急ブレーキがかかる可能性もある。

茨木市百条委 木本保平前市長の関与の可能性認定、刑事告発へ


茨木市の百条委員会(平成28年 議会の請求に基づく監査の結果〔監報第4号〕に関する調査特別委員会)は、木本保平前市長が親族による市税滞納について差し押さえなどを保留させるよう関与した可能性があると認定した。

また木本氏は、9日に開かれた委員会を非公開であることを理由に途中で退席したため、百条委員会は刑事告発に踏み切ることになった。

11月28日に開かれた最後の委員会で上田光夫委員長が明らかにした。今回の百条委員会は地方公務員法に定められた守秘義務違反に抵触するため原則秘密会で議論は非公開だ。この日の委員会は報道機関に公開された。

地方自治法の第百条では、出席や証言を拒否した場合に禁錮や罰金の罰則が定められている。また百条委員会も、出席や証言を拒否した場合、刑事告発することとされている。

茨木市議会は6月市議会最終日の6月30日に百条委員会設置を可決した。初めての百条委員会は7月6日に開かれ、10回にわたり調査を続けてきた。

11月9日の委員会では木本前市長が出席したが、非公開(秘密会)であることを理由に証言を拒否したようだ。途中で退席していたという。

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木本前市長も立候補した4月の市長選は福岡洋一市長の当選で終わっており、百条委員会の結果が当面の茨木市の都市開発の流れに与える影響は少ないとみられる。

しかし来年の市議選で木本氏は維新会派の総合選対本部長を務めることになっており、26日に茨木市内で開催されたあだち康史衆院議員の国政報告会にも市議選公認予定候補者とともに姿を見せた。

今後木本氏の扱いしだいでは最大会派の維新会派の選挙結果にも影響がでかねない。市議選の情勢に影響することもありえる。

山下けいき市議が告発しているポスター印刷費問題も火種になる可能性もあり、他の会派にも影響が及ぶ可能性もある。市議選の結果次第では茨木市の開発案件に影を落としかねない。