大阪北部地震で滞留者対策や老朽ビル復旧に課題


6月18日に発生した大阪府北部の地震から2週間近くが経過した。茨木市内でも6万戸超で供給が停止したガスも25日までにほぼ全面復旧し、日常モードに戻りつつある。

しかし茨木市では阪神・淡路大震災以来の大地震であったため、市内では1名が死亡しけが人も多数で出た。一部損壊も含めて市内で4000棟以上の建物に被害が報告されており、完全復旧までには時間がかかりそうだ。

また、今回の地震では以前から当会が指摘してきた、滞留者や老朽ビルの耐震性能不足の問題が顕在化した。

地震発生直後、JR茨木駅周辺では数千人規模の滞留者が出た。JRを含め鉄道各線が安全確認で運行を停止したためだ。駅間で停止した列車でも、その場で乗客を降ろして近隣の駅まで誘導する措置が取られた。

地震が通勤時間帯に発生したこともあり、茨木の地理に不案内な通勤・通学客も多く、駅周辺では夜まで滞留者が残った。

バスやタクシーは運行していたが、市内の各所は避難や地震対応の車で渋滞した。昼過ぎにはタクシーは3時間以上の待ちとなり、夜まで行列は続いた。

当日は晴天だったこともあり、駅周辺の建物や植え込みの日陰で座り込む滞留者も目立った。

余震も想定される中で建物や樹木のそばにいることは、落下物や倒壊の危険もある。今後は滞留者を府立春日丘高等学校など近隣の避難所へ誘導することも検討が必要だ。

また、市内の老朽ビルに被害が出ている。舟木町の舟木ビルでは外壁タイルが剥落したほか、JR茨木駅西口の茨木駅前ビルでは、外壁に大きな亀裂が発生している。

阪急茨木市駅西口の永代ビル(ソシオいばらき)では店舗部分の冷房が故障し、復旧に時間がかかっている。機器の排熱が大きいゲームセンターでは、業務用の大型扇風機を使って熱を逃がしている。

1階が駐車場になっているビルやマンションにも被害が多数報告されている。壁が少なく柱だけで建物を支える構造だからだ。

こうした老朽ビルやマンションでは、一般の住宅と異なり復旧を請け負える業者が限られるうえ、区分所有者の合意形成が難しく、復旧に時間がかかりそうだ。

これらのビルは1970年の大阪万博前後に開発が進んだものが多い。耐震基準は旧耐震で、耐震性も不足していることが多い。今後茨木市内では再開発やビルの建て替えの動きが進みそうだ。

阪神大震災から22年、茨木市内で過去最大規模訓練


阪神・淡路大震災から22年となる1月17日、茨木市は過去最大規模の市全域防災訓練(シェイクアウト訓練)を実施する。実施発生(想定)と同時に、取るべき3つの行動(まず低く、頭を守り、動かない)を取るという。

このあと午前11時に「有馬-高槻断層帯」を震源とした直下型地震(市内最大震度7)が発生し、ライフラインが途絶、家屋倒壊など甚大な被害が発生したという想定で訓練を行う。

茨木市内では39の企業や団体3,378人、69の学校など32,848人、21の自治会や自主防災組織5,786人、69の行政機関や福祉団体など8,418人ほか個人も参加する予定だ。

午前11時に市内一斉に屋外スピーカーで、地震発生を想定した訓練開始の合図を行い、午前11時3分ごろには緊急速報メール(エリアメール)を発信する。

茨木市内、とくにJR茨木駅周辺では1970年の大阪万博時に整備されたビル、マンションが多く残る。旧耐震基準で設計されているうえに、建設から50年近く経過している。今後建替えなど更新が大きな社会問題となりそうだ。

JR茨木駅西口でも茨木駅前ビルをはじめ、岸本ビル(ステーションプラザ)や高橋ビル、茨木グランドハイツ、メゾン茨木西駅前などの建築物で老朽化が著しい。

JR茨木駅西口や阪急茨木市駅西口の駅前は再開発が進む見通しだが、他の地区では自主建替えやデベロッパーによる再開発が求められる。行政によるあっせんなども必要になるだろう。