茨木市長に福岡氏当選


茨木市長に新人で弁護士の福岡洋一氏(40)が当選した。茨木市選挙管理委員会が発表した。得票総数71933(開票率100%)ふくおか洋一36865、末武和美14842、木本やすひら20226

盛り上がり欠く選挙戦に市民は無関心


再出馬を表明した現職の木本保平氏(71)の再選が確実視されていた茨木市長選挙は、差出人不明の告発文書によって一気に情勢が変わった。

木本氏のおいが所有する不動産の固定資産税を滞納しているというもので、3月4日の市議会で朝田充市議(共産党)の追及に木本氏は事実を認めた。毎日放送などがローカルニュースでこれを報じた。

さらにこの不動産を担保に木本氏自身が借入れをおこなっていたこと、それを市条例に基づく資産報告から除外していたことなどが明らかになった。

かねてからごみ収集業務民間委託の入札をめぐって、参入条件を厳しくすることで木本氏の親族が経営する会社などが長年にわたって事実上独占してきたことも問題視されてきたこともあり、一気に木本氏離れの動きが広がった。

特に木本氏の支持母体で、自身も顧問を務めるおおさか維新の会茨木支部は実質的に分裂状態となった。同党所属の足立康史衆院議員は木本氏に説明を求めるなど、反木本の動きを鮮明にした。

週明けにはおおさか維新の会茨木支部として木本氏支持を取りやめ、代わりの候補探しに動き始めた。しかし木本氏を支持する市議も多く、代わりの独自候補を擁立することができずに、自主投票を決定した。

木本氏の不祥事をうけて自民党などは対抗馬探しの動きを加速。茨木青年会議所でも活動していた茨木市出身の福岡洋一弁護士(40)を擁立することになった。無所属を標榜していたが自民党の占部走馬府議は自らの事務所を選挙事務所に提供するなど、茨木青年会議所メンバーとも連携して全面的にバックアップした。

この動きにおおさか維新の会所属の松本利明府議や民進党の森みどり前府議も追随。さらに前回2012年の市長選で敗れた桂睦子市議ら諸派や無所属市議も相次いで福岡氏支持を明らかにした。足立康史議員も中立を標榜していたが、福岡陣営にも為書きを寄せた。さらに福岡陣営の選挙はがきの推薦人にも名を連ねた。

しかしその一方で、民進党やおおさか維新の会の内部対立が広がった。大野ちか子市議(おおさか維新の会)など茨木青年会議所の役員にも木本支持派がいることから青年会議所も全面的に福岡氏支持でまとまりきれなかった。

共産党は元府職員で同党系の市民団体役員の末武和美氏(69)を擁立。共産党市議団のほか無所属の山下慶喜市議ら数名が支持に回った。

結果的にこの選挙は木本派と反木本派の感情的対立に過ぎなかったといえるであろう。共産党を除くとどの組織も一枚岩とは言えず、一般の市民からみえないところで展開された選挙だった。

福岡陣営はSNS等でポスターが500枚破られたと訴え、張り込みで犯人を捕まえたとしている。その犯人は対立陣営の運動員だったとしているが真偽のほどは明らかでない。選挙違反事案のため、これから公表される可能性がある。またSNS上では木本氏と足立議員が激しくやりあう場面もあった。

本来現職市長のスキャンダルに新人弁護士が挑むという構図は盛り上がるはずである。しかし各支援団体が股裂き状態になっていた上に、公にされるべき議論がほとんど表に出なかったことで一般の市民の関心は低かった。福岡氏というある意味落下傘ともいえる候補の知名度の低さも盛り上がりに欠けた要因といえよう。

1期4年の木本市政で駅前や市南部開発、市民会館建て替えなど多くの開発案件が浮上している。これらを推進するのか、またどのように軌道修正するのかを問われるべき選挙だった。それが政党や組織のパワーバランスで市民不在のまま議論が深まらなかったツケは大きい。

また内部分裂状態となったおおさか維新の会茨木支部や茨木青年会議所などには大きなシコリが残る。今後さまざまところで影響が出てくることになるだろう。

茨木市長選 投票率34.12%(前回比マイナス2.33ポイント)


茨木市選挙管理委員会は、本日投票が実施された茨木市長選の投票率は34.12%(速報値)だったと発表した。前回の36.45を2ポイント以上下回った。

茨木市長選挙 開票へ


現職と2人の新人が立候補した茨木市長選は本日(10日)投票が実施され、午後8時で投票を締め切った。市内62投票所の投票箱は、小川町の市民体育館に運ばれ開票が行われる。大勢は深夜に判明するとみられる。

茨木市長選、午前中に3陣営が立候補を届出


茨木市長選挙は3日告示され、午前中に福岡洋一氏(40)、末武和美(69)、木本保平(71)の各氏が立候補を届け出た。10日に投開票される。

各氏略歴
福岡洋一
末武和美
木本保平

末武和美氏略歴


末武和美(すえたけ・かずみ)
1946年11月生まれ、山口市出身。県立山口農業高卒。元府職員(茨木土木事務所)、府職員労働組合青年部長・執行委員、大阪労連北摂地区協議会議長、党地区副委員長。2012年衆院選候補者(共産党)。日本共産党系の市民団体「明るい茨木をつくる市民の会」事務局長。吹田市在住。

茨木市長選挙告示へ、情勢は混とん


茨木市長選挙は3日告示される。現職の木本保平市長(71)に元府職員で市民団体事務局長の末武和美(69)、弁護士の福岡洋一(40)の2人の候補が挑む。投開票は10日。茨木市議会議員の補欠選挙も同時に行われる。補選には自民党と無所属の2人が立候補するとみられる。

茨木市議会の複数会派内で支持候補を統一できていないとみられる。茨木青年会議所など各陣営の活動を支える市内団体も木本派と福岡派に割れており、選挙情勢は混とんとしている。

新たな市民会館の建設や、JR茨木駅西口再開発・市南部の市街化調整区域の開発など開発計画が相次ぐ中、選挙結果次第では計画の見直しなど方向転換も予想される。

30日には茨木青年会議所が主催する公開討論会も実施され、3氏が論戦を繰り広げた。開発について木本市長と福岡氏に大きな政策の違いはなかったが、末武氏は開発に懐疑的な立場を見せた。

不祥事で一転波乱の展開に

当初今回の市長選は木本市長の再選の可能性が高いと見られていたが、3月に入って木本市長の不祥事が表面化した。木本市長のおい2人が固定資産税を滞納していることや、市長本人がその不動産を担保に借入れを行いながら、その借入れを市条例に基づく資産報告から除外していたというもの。差出人不明の告発文書をもとに3月市議会で複数の議員が質したことで明らかになった。

市議会にテレビカメラも入り、大きく報道されたことで一気に市長離れの動きが進んだ。支持母体のおおさか維新の会所属で茨木市などを地盤とする足立康史衆院議員も説明を求めた。

おおさか維新の会茨木支部も内部で意見対立があり、同支部は支援を中止し木本選対はいったん解散した。足立議員らはおおさか維新の会茨木支部としての支援候補を模索したが、木本支持派に配慮して自主投票を決めた。

新たな候補を擁立

自民党の占部走馬府議らは茨木青年会議所などの人脈から木本市長の対抗馬を探してきた。木本市長の不祥事が明らかになったことで茨木市出身の福岡洋一弁護士の擁立に動いた。

福岡氏はおおさか維新の会茨木支部長でもある松本利明府議や、民進党の森みどり前府議の支持も取り付けたほか、前回の市長選で木本氏と戦った桂睦子市議や米川勝利市議など無所属議員も支持に回ったと見られる。

福岡陣営の動きは遅れ気味と見られていたが、占部府議が事務所を提供。23日には「茨木未来会議 ふくおか洋一」というフェイスブックページを立ち上げたほか、ウェブサイトも開設。連日の辻立ちもこなし、3月までにビラも市内全戸に配布した。

末武候補も3月早々に出馬を表明しており、辻立ちや車での街宣など他陣営に先行して繰り広げる。しかし共産党系団体や共産党以外の支援は無所属の山下慶喜市議のみとみられ、支持の広がりに欠ける。

その一方で木本市長と福岡氏の票が割れる可能性が大きくなっており、左派票を集めた末武候補が票を伸ばして互角の戦いに持ち込む可能性も残されている。争点が明確でない市長選だけに選挙戦の盛り上がりに欠けるとの見方も強い。投票率が伸び悩んだ場合、想定外の結果もありえる。

読めない票の行方

無所属の山下慶喜市議は、党派内部で木本市長と福岡氏の支持が割れていると指摘している。ブログで「もっともねじれているのが民進党関係と連合です。民主みらいの会派が現職・木本と新人・福岡で割れ、市役所の自治労は現職・木本に、教組関係は新人・福岡となっています」と記している。

また維新も「会派の市議2人と府議が新人・福岡に、残りは現職・木本」としている。「維新の足立衆議院議員はFacebookで木本市長に罵詈雑言を浴びせていましたがどうするのやら・・・」と書いているが、足立議員は福岡氏に「為書き」を寄せたとの情報がある。

「末武市長」なら開発は見直しに

木本市政で新たな市民会館の建設や、JR茨木駅西口再開発・市南部の市街化調整区域の開発など多くの開発計画が浮上しているが、末武氏は開発よりも福祉重視を訴えている。

福岡氏はウェブサイトで政策の筆頭に「まちづくり」を挙げ、「昼も夜もにぎわい、憩える中心市街地と駅前の再整備。市民に愛され、使われる新しい芸術文化施設の建設。」と訴えている。さらに「新しい価値を創造する起業支援。市内企業と世界をつなぐ」と商工業の振興にも意欲を見せている。

木本市長の再選もしくは福岡氏当選であれば開発路線に大きな変更はなさそうだ。しかし末武氏が当選した場合は開発計画に影響は避けられなさそうだ。

茨木市長選に山下氏出馬せず3候補での戦いに


山下慶喜茨木市議は25日に更新したブログで、来月の茨木市長選挙に「今回は私自身の立候補はなく、よりいのちとくらし最優先の私の立場に近い末武氏を応援します」と明らかにした。

すでに立候補を表明した新人で弁護士の福岡洋一氏を民進党所属の森みどり前府議が支援するため、山下氏とともに前回の2012年の茨木市長選で民主党の支援を受けた桂睦子市議も立候補しない可能性が高い。

福岡陣営の事務所は占部府議が提供か


山下慶喜茨木市議は25日に更新したブログで、茨木市長選に立候補を表明した福岡洋一氏と面談したことを明らかにした。どの政党の公認や推薦は受けないものの、「自民党の府議事務所を選挙事務所にすると聞いて」いるという。

茨木市内の自民府議事務所は占部走馬府議の事務所しかない。占部事務所は大手町のビルに入居しており、中央通りを挟んで茨木神社の向かい側にある。

山下氏は福岡氏について「良くも悪くも癖はなく、常識を持った好人物であることは間違いありません」と一定の評価をした。そのいっぽうで「スタートとなる選挙から自民や維新に借りを作るようでは、額に汗して働いている庶民のための政治からは遠ざかっていきます」と批判している。

出馬会見に占部府議のほか、松本利明府議(おおさか維新の会)、森みどり前府議(民進党・旧民主党)が同席したことや、自民府議から事務所を提供されることを理由に挙げている。

また「政治活動の経験もほとんどないようで、厳しいかもしれませんが、そこに政治に対する思い入れの弱さを感じました」とも評した。

今回の市長選は選挙の1か月前に木本保平市長の不祥事が明らかになった。自民党サイドでは候補者探しはしていたものの、現職有利と見られることから対抗馬を擁立する動きは鈍かった。

急遽候補を擁立したことで準備が追いつかず、占部府議の事務所を間借りするしか選択肢がなかったと見られる。福岡氏自身も弁護士としてはまだ6年ほどのキャリアで選挙資金も充分ではなく、できるだけ節約したいという台所事情もありそうだ。

茨木市長選は木本・末武・福岡の3候補が軸に


来月3日告示、10日投開票の茨木市長選挙は、現職の木本保平市長(70)に共産系の末武和美(69)、自民系の福岡洋一(40)の各候補が挑む戦いになりそうだ。無所属の市議などに出馬の動きはなく、この3候補を軸に選挙戦が展開されそうだ。

木本市長はおいが長年にわたって多額の固定資産税滞納をしていたことや、自身もその物件を担保に5000万円を借入れしながら、市条例にもとづく資産公開をしていなかったことが明らかになっている。

そのため支持母体のおおさか維新の会茨木支部は自主投票とし、支援を取りやめた。福岡氏を推す動きも報じられたが、木本氏支持の市議の抵抗もあって調整できなかったようだ。

22日の茨木市議会の3月議会本会議では、市長の不祥事をうけて「『茨木市長等の政治倫理条例』制定に向け研究検討を求めることについて(請願第2号)」が採択された。採決時に木本氏に近い一部市議は退席したようだ。また、一連の不祥事で固定資産税の督促業務についても不明朗な点があるとして提出された「監査の請求(議員発第2号)」も原案可決した。

茨木市長選はすでに水面下で準備が進む。木本陣営は駅前4丁目の中央通りに面した結納事務用品店に選挙事務所を構えた。大阪府内の首長などからの「為書き」が貼られ、人の出入りもあわただしい。末武陣営も本人や共産党所属の市議が駅前などで辻立ちをこなす。共産党系の団体も宣伝カーで市長の不祥事を追求する声を上げるなど支援している。

いっぽうで福岡陣営は出遅れ感がある。福岡氏自身のブログやツイッターを閉鎖する「身辺整理」が済み、23日に立候補表明会見を行った。

特定の政党の支援はうけずに無所属で立候補するとして、会見には占部走馬府議(自民党)、松本利明府議(おおさか維新の会)、森みどり前府議(民主党)が立ち会った。しかし他には具体的な動きは見られず、知名度が上がらなければ現職に有利に働きそうだ。

左派系の無所属や諸派は候補を立てないとみられることから、保守・中道系の票が割れれば左派票を取り込んだ末武候補が票を伸ばす可能性もある。末武候補は開発に否定的で、市長選の結果によってはJR茨木駅西口や市南部などの開発にブレーキがかかる可能性もある。