逼迫が懸念される茨木市内の交通容量


エキスポシティ開業で茨木市内の交通はマヒ?

茨木市の道路の交通容量に逼迫が懸念されている。11月19日に吹田市の万博公園内に大規模商業施設「EXPOCITY(エキスポシティ)」が開業するが、その影響で茨木市内の自動車交通の増加は避けられない。開業当初や、万博公園周辺のイベント開催時には入込客数が1日10万人単位となる可能性もあり、茨木市内中心部の慢性的な渋滞の範囲が拡大する恐れがある。

茨木市の自動車交通はJR京都線と阪急京都線、安威川などの地理的制約により名神茨木インターなど茨木市北部や高槻市方面と市南部地域や淀川左岸地域間の通過交通が府道14号大阪高槻京都線(産業道路)や大阪府道139号枚方茨木線など一部幹線道路に集中している。

さらに土日や休日にはイオン茨木(松ヶ本町)への来場客が産業道路・府道2号大阪中央環状線を通行することで、JR茨木駅周辺の道路渋滞は慢性化している。

特に名神茨木インター(畑田交差点)から千里丘あたりまでの産業道路から東西方向への抜け道が少ないことが、渋滞の原因となっている。この区間では上穂東・弁天下・中穂積・西駅前・下穂積1・宇野辺北・宇野辺の各交差点しか東西方向へ抜けられない。

さらに、特に通行量の多い府道枚方茨木線・大阪府道129号南千里茨木停車場線(エキスポロード)と中央環状線と交差点となる中穂積-下穂積1・宇野辺北の各交差点の間にイオン茨木があることで交通容量が特に不足している上に、JR茨木駅周辺道路の線形の複雑さもあって右折渋滞も発生しており、渋滞に拍車をかけている。

致命的な茨木松ヶ本線の開通遅れ

イオン茨木(松ヶ本町)の北側に都市計画道路・茨木松ヶ本線を整備中だが、JR京都線のアンダーパスが未開通となっている。開通は平成30(2018)年の予定となっている。

この状況でエキスポシティが開業すると、市中心部では中央環状線・産業道路とエキスポロードの通行量増加が見込まれる。中央環状線は高速道路などで遠方から来場する自動車の通行が増える。産業道路は千里丘7丁目交差点がエキスポシティへのアクセス道路入口となるため、渋滞は南北方向に拡大することは確実だ。

エキスポロードもバス路線が新設される上に、臨時バスの運行も予想される。一般車両にも万博外周道路からの抜け道として選ばれる可能性も高く、JR茨木駅西側全体の道路がマヒする恐れもある。

JR茨木駅東口方面にも広がる渋滞

またJR茨木駅東口方面にも渋滞は広がりつつある。すでにJR茨木駅北側の府道枚方茨木線も右折渋滞などで渋滞が常態化している。そのため都市計画道路茨木鮎川線(東西通り)にも渋滞が広がる。この3連休もハローワーク近辺まで渋滞がのびる時間帯もあった。枚方茨木線と東西通りの渋滞は桜通り・川端通り、都市計画道路西中条奈良線にも影響が及んでいる。
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JR・阪急間の一方通行化が打開策か

茨木松ヶ本線が開通しない限りJR京都線西側の渋滞には対応できない。だが、JR茨木駅東口方面への渋滞拡大は軽減可能だ。

茨木市は平成26(2014)年3月に「茨木市総合交通戦略」でJR茨木駅と阪急茨木市駅間の一方通行化を打ち出している。両駅間の府道茨木枚方線(東行き)・大阪府道15号八尾茨木線(南行き)・東西通り(西行き)を一方通行化するもの。
一方通行
市では一方通行化は歩行空間の確保が目的としており、一方通行化により渋滞は増えると予測している。しかし近年JR茨木駅ガードの東側交差点で渋滞が慢性化している。一方通行化でにより逆にこの渋滞を減らすことができる。

この渋滞は茨木枚方線東行きに右折車線がないことによる右折渋滞と府道茨木停車場線(JR茨木駅東口から接続する道路)は右折車線があるものの道幅が狭く、バスなどの大型車の輻輳により通行が妨げられることが原因だ。
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この渋滞がJR茨木駅西口周辺の渋滞を拡大することもある。JR茨木駅ガード東側交差点が渋滞することで、産業道路やエキスポロードからの流入車両がJR茨木駅東口方向にスムーズに抜けられないからだ。

一方通行化で信号待ちが長くなるが、同交差点での右左折渋滞が解消することで、結果的にJR茨木駅西口周辺と阪急茨木市駅周辺の双方間の旅行時間(通過にかかる時間)は短縮できる可能性が高い。

桜通りや市役所東側の道路は両方向の通行が可能で、迂回は最小限に抑えられる。これまでも長年検討され入念な調査が行われており、実施しても混乱は一時的で大きな影響はないとする関係者も多い。渋滞が深刻化する前に社会実験を実施すべきとの声も上がっている。