台風24号接近で茨木市内は厳戒態勢


非常に強い台風24号が近畿地方に接近しつつある。気象庁によると台風24号は午後9時には中心気圧は955ヘクトパスカルと強い勢力で奈良市付近にあると予想されており、茨木市には午前7時前に暴風警報が出された。午後から夕方にかけて茨木市も暴風域に入りそうだ。

今月4日に近畿地方を通過した台風21号は茨木市内でも大きな爪あとを残した。台風21号に匹敵する強さの台風の接近に茨木市内は厳戒態勢に入っている。

茨木神社忠魂碑写真=茨木神社の忠魂碑そばの倒木を撤去した切り株

茨木市は午前7時に市内全域で中学校などに避難所を開設した。7時から避難所を開設することは一昨日の段階で決めていた。

茨木市内では昨日から台風に備えた買い出しで渋滞が相次いでいる。中心市街地の中央通り、東西通り、川端通り、桜通りや産業道路のほか、府道余野茨木線や府道茨木枚方線の阪急以西の区間など周辺部から中心部につながる道路でも渋滞が相次いだ。

JR西日本は、京都線で大阪方面は高槻駅11時33分発の大阪行き普通、京都方面は大阪駅11時32分発高槻行き普通を最後に運転を終了した。阪急電鉄も京都本線で特急を運休し、普通・準急のみと本数を減らして運転しており、15時頃までに終日休止するという。

コーナンなどのホームセンターは昨日から混雑が続く。スーパーでも買い出しの動きが多く、パンやバナナ、飲料水など停電や断水でも飲食できる食料品が品薄になっている。さらに多くの店舗が閉店を繰り上げており、レジに長い行列ができた。

台風21号では看板などが飛ばされる被害も出ており、取り外しできる看板を一時的に撤去する店舗も見られた。

台風21号でサイン看板が破損したJR茨木駅西口の牛丼店「松屋」では、店舗外に出していたタペストリー型のメニュー看板を撤去した。JR茨木駅東口の学習塾「開成教育セミナー」でも懸垂幕を折り畳んでいる。
JR茨木松屋台風24号対策写真=看板が撤去されたJR茨木駅西口の牛丼店「松屋」

市内では復旧途中の建物被害もある。阪急茨木市駅西口の「ソシオいばらき」では、3階の歯科医院の外壁が大きく破損した。

ソシオ茨木ながた歯科被害写真=外壁に大きな被害がでた「ソシオいばらき」の歯科医院

ようやく復旧工事に入ったがまだ養生をしただけの段階だ。台風24号で更に被害が拡大しかねない。
ソシオ茨木ながた歯科被害
ソシオ茨木ながた歯科被害

「ソシオいばらき」では地震でも空調設備に深刻な被害があった。阪急茨木市駅西地区市街地再開発事業による建替えの計画が進む中で相次ぐ災害は、管理組合にとっては大きな痛手だ。

台風21号は地震で被害を受けた建物の復旧をはばむ。茨木神社の社務所では工事足場や屋根カバーが剥がれたり、民家の屋根のブルーシートが飛ばされるなど、市内各地で被害が拡大した。さらに被害が拡大すれば、屋根や外壁修理の業者不足に拍車がかかる恐れもある。

逼迫が懸念される茨木市内の交通容量


エキスポシティ開業で茨木市内の交通はマヒ?

茨木市の道路の交通容量に逼迫が懸念されている。11月19日に吹田市の万博公園内に大規模商業施設「EXPOCITY(エキスポシティ)」が開業するが、その影響で茨木市内の自動車交通の増加は避けられない。開業当初や、万博公園周辺のイベント開催時には入込客数が1日10万人単位となる可能性もあり、茨木市内中心部の慢性的な渋滞の範囲が拡大する恐れがある。

茨木市の自動車交通はJR京都線と阪急京都線、安威川などの地理的制約により名神茨木インターなど茨木市北部や高槻市方面と市南部地域や淀川左岸地域間の通過交通が府道14号大阪高槻京都線(産業道路)や大阪府道139号枚方茨木線など一部幹線道路に集中している。

さらに土日や休日にはイオン茨木(松ヶ本町)への来場客が産業道路・府道2号大阪中央環状線を通行することで、JR茨木駅周辺の道路渋滞は慢性化している。

特に名神茨木インター(畑田交差点)から千里丘あたりまでの産業道路から東西方向への抜け道が少ないことが、渋滞の原因となっている。この区間では上穂東・弁天下・中穂積・西駅前・下穂積1・宇野辺北・宇野辺の各交差点しか東西方向へ抜けられない。

さらに、特に通行量の多い府道枚方茨木線・大阪府道129号南千里茨木停車場線(エキスポロード)と中央環状線と交差点となる中穂積-下穂積1・宇野辺北の各交差点の間にイオン茨木があることで交通容量が特に不足している上に、JR茨木駅周辺道路の線形の複雑さもあって右折渋滞も発生しており、渋滞に拍車をかけている。

致命的な茨木松ヶ本線の開通遅れ

イオン茨木(松ヶ本町)の北側に都市計画道路・茨木松ヶ本線を整備中だが、JR京都線のアンダーパスが未開通となっている。開通は平成30(2018)年の予定となっている。

この状況でエキスポシティが開業すると、市中心部では中央環状線・産業道路とエキスポロードの通行量増加が見込まれる。中央環状線は高速道路などで遠方から来場する自動車の通行が増える。産業道路は千里丘7丁目交差点がエキスポシティへのアクセス道路入口となるため、渋滞は南北方向に拡大することは確実だ。

エキスポロードもバス路線が新設される上に、臨時バスの運行も予想される。一般車両にも万博外周道路からの抜け道として選ばれる可能性も高く、JR茨木駅西側全体の道路がマヒする恐れもある。

JR茨木駅東口方面にも広がる渋滞

またJR茨木駅東口方面にも渋滞は広がりつつある。すでにJR茨木駅北側の府道枚方茨木線も右折渋滞などで渋滞が常態化している。そのため都市計画道路茨木鮎川線(東西通り)にも渋滞が広がる。この3連休もハローワーク近辺まで渋滞がのびる時間帯もあった。枚方茨木線と東西通りの渋滞は桜通り・川端通り、都市計画道路西中条奈良線にも影響が及んでいる。
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JR・阪急間の一方通行化が打開策か

茨木松ヶ本線が開通しない限りJR京都線西側の渋滞には対応できない。だが、JR茨木駅東口方面への渋滞拡大は軽減可能だ。

茨木市は平成26(2014)年3月に「茨木市総合交通戦略」でJR茨木駅と阪急茨木市駅間の一方通行化を打ち出している。両駅間の府道茨木枚方線(東行き)・大阪府道15号八尾茨木線(南行き)・東西通り(西行き)を一方通行化するもの。
一方通行
市では一方通行化は歩行空間の確保が目的としており、一方通行化により渋滞は増えると予測している。しかし近年JR茨木駅ガードの東側交差点で渋滞が慢性化している。一方通行化でにより逆にこの渋滞を減らすことができる。

この渋滞は茨木枚方線東行きに右折車線がないことによる右折渋滞と府道茨木停車場線(JR茨木駅東口から接続する道路)は右折車線があるものの道幅が狭く、バスなどの大型車の輻輳により通行が妨げられることが原因だ。
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この渋滞がJR茨木駅西口周辺の渋滞を拡大することもある。JR茨木駅ガード東側交差点が渋滞することで、産業道路やエキスポロードからの流入車両がJR茨木駅東口方向にスムーズに抜けられないからだ。

一方通行化で信号待ちが長くなるが、同交差点での右左折渋滞が解消することで、結果的にJR茨木駅西口周辺と阪急茨木市駅周辺の双方間の旅行時間(通過にかかる時間)は短縮できる可能性が高い。

桜通りや市役所東側の道路は両方向の通行が可能で、迂回は最小限に抑えられる。これまでも長年検討され入念な調査が行われており、実施しても混乱は一時的で大きな影響はないとする関係者も多い。渋滞が深刻化する前に社会実験を実施すべきとの声も上がっている。